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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

ProductZine Day 2024 Winter

成長企業の事例から学ぶプロダクトマネジメント(AD)

ネット証券最短で100万口座突破した「LINE証券」が、プロダクトマーケットフィットした背景とは?

 「投資をもっと身近に、もっと手軽に」をミッションとし、スマートフォンから投資ができるサービスを提供するLINE証券。1株数百円で取引できる手軽さや各種キャンペーンが功を奏し、2019年8月のサービス開始から2年あまりで口座開設100万を突破。特に2021年に入ってから口座開設数を50万以上伸ばしており、その勢いは加速している。これまで投資に参加していなかった層にリーチしながら、利用者のニーズに応えるサービスを展開し、急成長を遂げているLINE証券のプロダクトマネージャー 石川紘子氏に、プロダクトマーケットフィットの軌跡や今後の展望を聞いた。

LINE証券株式会社 PM サービス・マーケティング担当執行役員 石川紘子氏

 新卒で人材サービスに入社し、営業や営業企画、マーケティング、サービス企画の経験を積み2017年にLINE株式会社へ入社。「LINEデリマ」「LINEキャリア」の立ち上げに携わり、2018年よりLINE証券のサービス企画職となり2021年よりLINE証券株式会社のサービス・マーケティング担当の執行役員を務める。

投資をしたくてもできなかった層にリーチするプロダクト

 LINE証券は、2021年10月に口座開設数100万を突破した。同社の調査によるとサービス開始から2年2か月での達成は大手ネット証券5社(SBI証券、楽天証券、松井証券、auカブコム証券、マネックス証券)では最短だとしている。スマートフォンでのコミュニケーションツールとして普及しているLINEのグループ企業として、スマートフォンにフォーカスしたプロダクトとしているほか、コロナ禍で株式投資を始める人が増加したことも追い風となった。そこでプロダクトの指揮をとるのが石川紘子氏。2017年にLINEに入社し、2018年からLINE証券の業務に携わっている。

スマートフォンにフォーカスしたネット証券「LINE証券」
スマートフォンにフォーカスしたネット証券「LINE証券」

 LINE証券は、LINE傘下のLINE Financialと野村ホールディングスが共同出資して設立されたジョイントベンチャー。プロダクトやマーケティングといった顧客に接する部分はLINE側が担当し、金融商品企画やコンプライアンス、オペレーション等は野村ホールディングス側が担当する。石川氏は、プロダクトを企画するサービス企画チームと、口座獲得を担うマーケティング企画チーム、CRMを担うサービスグロースチームを担当する執行役員である。担当チームについて石川氏は次のように説明した。

 「チームには、プロダクトのグロースや新規プロダクトの企画など、プロダクトマネジメント領域を担当するメンバーがいます。デザイナーや開発者は、LINEやLINE Financialのメンバーが担当。UIデザインは5~10名、マーケティング向けのランディングページを作るデザイナーが1名、開発者はQA(品質保証)も含めてプロダクトのフロント開発にはLINE Financialなどから100名ほど参加しています」(石川氏)

 LINE証券がプロダクトをローンチしたのは2019年の8月末で、石川氏はその1年前からプロダクトの立ち上げプロジェクトに参加。これまで資金がなく投資に踏み出せなかった人やスマホネイティブな若い世代の人も利用できるサービスにするという目的のもと、プロジェクトは始まった。株式投資はある程度まとまった資金が必要とされてきたが、投資未経験者が手軽に参加できるよう、少額から投資できるサービス設計を行っていった。現在のユーザーは、投資未経験者が64%、20~30代が過半数を占めるなど、想定したターゲットにうまくリーチできていると言える。

LINE証券で口座を開設したユーザーの属性
LINE証券で口座を開設したユーザーの属性

 少額からの株式投資は、ほぼ未開拓のマーケットだと石川氏は言う。また社会環境として、『つみたてNISA』や『iDeCo(個人型確定拠出年金)』、さらには『FIRE(Financial Independence, Retire Early)』といった言葉も話題になっている社会的な背景もあり、若年層を含むこれまで投資に無関心だった方々も投資や資産運用に興味を持つ傾向が強まってきた。LINE証券では、これから投資家として育っていくスタート地点に近いユーザーにも、投資や資産運用でのベネフィットを感じてもらうために、さまざまなサービスを揃えてきている。コミュニケーションサービスとして広く国民に浸透しているLINEが提供するサービスということでタッチポイントの強さはあるものの、株式投資の新しい市場を開拓したことが事業の成長につながったのだ。

LINE証券がサービス開始から2年をかけて拡充してきたサービス群
LINE証券がサービス開始から2年をかけて拡充してきたサービス群

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収益とユーザーニーズのバランスをとりながらプロダクトを成長

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。 1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテック...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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