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Regional Scrum Gathering Tokyo 2020 レポート

あなたのプロダクトバックログは価値を生み出していますか? 各社の事例に学ぶ「Outcome」の重要性

Regional Scrum Gathering Tokyo 2020 レポート


 プロダクトバックログアイテム(以下、PBI)の価値や成果を表す際、「Output」と「Outcome」の2種類の指標が考えられる。Outputとは、リリースした機能の数や質のこと。Outcomeとは「利用者がどう変わったのか?」「利用者の課題が解決したのか?」という利用者視点での効果のこと(※)である。『みなさんのプロダクトバックログアイテムはOutcomeを生み出していますか?』と題して行われた本セッションでは、企業の事例をもとに、PBIにおけるOutcomeの重要性を、ギルドワークス株式会社の中村洋氏が解説する。

※…Outcomeはビジネス視点からのOutcomeと、利用者視点からのOutcomeの2つに分類されるが、上記は利用者視点からのOutcomeのことを指す。

事例1:“ダイヤ”という概念を用いて、Outcomeを比較可能にする

 中村氏はチームビルディングやファシリテーション、アジャイル開発のマネジメントを得意とする現場コーチ。

ギルドワークス株式会社 中村洋氏
ギルドワークス株式会社 中村洋氏

 まず、自身がコーチとして携わった株式会社Rise UPの事例について紹介した。もともとこの企業では、Outputを主な指標として開発を評価する文化があった。だが、より「ユーザーにとっての本質的な価値」にフォーカスするために、Outcomeの指標を取り入れたという。

 Rise UPでは“ダイヤ”という概念を導入して、自分たちが創出した価値を可視化することを決めた。ダイヤとは、ビジネス価値を示す単位のようなものである。なぜ、この概念が必要だったのだろうか。

 各PBIのOutcomeは、「ユーザー数が増える」「検索がより便利になる」「売り上げが○%くらい伸びる」など、生み出す価値の種類が異なっている。そのため、ダイヤという相対的な概念を用いて、価値の抽象度を上げることによって、共通した価値基準に基づいて比較可能な状態にしたのだ。

 「ダイヤの導入により、PBIそれぞれの費用対効果(Return On Investment:ROI)がわかるようになりました。例えば『この機能はすぐに実装が終わるけれど、あまり効果がなさそう』とか『この機能は実装が大変だけれど、ユーザーにとっての価値が大きい』と判別できるようになったのです。費用対効果を算出することで、メンバーがより納得感や自信を持って、プロダクトバックログアイテムの優先順位づけを行えます。

 Outcomeにフォーカスすることで、『機能を出した結果、ユーザーの行動は変わっているのだろうか』と、リリース後の結果を計測するようになり、スプリントレビューでのコミュニケーション量も増えました」

 Outcomeの指標を取り入れたことで、Rise UPでは新たな文化が生まれた。PBIのなかに「望んでいる結果・成果は何か?」「定量的にいつ、何がどうなっていたらいいか?」を記載するようになったのだ。つまり、Outcomeを明確にしたうえで、作業に取り組む習慣がチームに身についた。

 「この事例から『Outcomeをチーム全員で考えて、探索していくこと』『Outcomeを精密に定義するのではなく、ある程度の解像度で理解を合わせるようにすること』の大切さを、ご理解いただければ幸いです」

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事例2:プロダクトオーナーが、ユーザーの生の声をチームに届ける

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この記事の著者

中薗 昴(ナカゾノ スバル)

 週の半分はエンジニア、もう半分はライター・編集者として働くパラレルキャリアの人。現職のエンジニアとして培った知識・経験を強みに、専門性の高いIT系コンテンツの制作を行う。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/8 2020/02/06 13:08

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