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ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

ProductZine Day 2024 Winter

プロダクト開発の先進事例に学ぶ、キーパーソンインタビュー

Go To Eatキャンペーンでの神対応はどのようにして生まれたか? Rettyのプロダクト開発と組織改革の裏側

 4800万ユーザーを誇る、日本最大級の実名型口コミグルメサービス「Retty」。来店して気に入った人が店を紹介するというスタイルで急成長し、小さな個人店も含め70万店舗が掲載されるなど、順調にサービスを拡大している。特に2020年からのコロナ禍において、苦境にある飲食店を支援するために「Go To Eatキャンペーン」にいち早く対応。その迅速さと利用費無料が“神対応”と注目された。そんなRettyのプロダクト開発の現場ではどのように意思決定や業務連携が進められているのか。プロダクトマネージャーの野口大貴氏、エンジニアリングマネージャーの常松祐一氏に伺った。

人気グルメ検索サイトの成長を両輪で支え続けるPMとEM

――通常のプロダクト開発と昨年の「Go To Eat」のようなイレギュラーな施策と、さまざまなプロジェクトや業務が並行して進んでいると想像されます。その中で、お二人はどのような役割を担われているのですか。

野口:私はプロダクト部門の執行役員として、プロダクトマネージャーやデザイナー、カスタマーサポートが所属する部門を統括しています。両方合わせて30名くらいの組織で、常松が所属するエンジニアリング部門と連携しながらプロダクト開発を担い、その開発スクラムのプロダクトオーナーでもあります。Rettyに入社したのは約6年前で、入社前にWebマーケティングやSEOなどの経験があり、最初はユーザーグロースチームやコンバージョン改善などを担当し、2018年頃からプロダクトマネージャーとして業務にあたるようになりました。

Retty株式会社 プロダクト部門担当執行役員 野口大貴氏
Retty株式会社 プロダクト部門担当執行役員 野口大貴氏

常松:私はエンジニアリング部門で、toC/toBのWeb開発のほか、アプリ、データ分析、インフラなどサービスに関わる開発を含めた全体マネジメントを担当しています。2019年6月に入社して、開発業務はもちろんですが、開発組織や開発プロセス、チームビルディングなど、組織を良くしていくための取り組みについても携わっています。

Retty株式会社 エンジニアリングマネージャー 常松祐一氏
Retty株式会社 エンジニアリングマネージャー 常松祐一氏

――Rettyのサービスはどのように成長してきたのでしょうか。また、プロダクトとしては現在どのような段階にあると認識されていますか。

野口:私の入社前、最初の2~3年は「CGM(Consumer Generated Media、消費者生成メディア)」として、ひたすらファン獲得に注力していたと聞きます。知り合いやSNSなどからグルメな人を見つけて投稿を依頼し、オフ会と称しておいしいものを食べながらフィードバックをいただくなど。今もなお私たちが大切にしている「User Happy」なサービス作りにつながるカルチャーは、初期段階に形作られたものなんです。

 そして3~6年目くらいは、投稿が蓄積し「グルメ検索サイト」としてSEO・SEMの強化を行ってきました。「NAVERまとめ」など他社メディア・サービスへの露出も多く、毎月100万人ずつ増えていた時期もありました。ユーザーが増えたところで、今度は飲食店のファンを増やすようCRM(顧客満足度)ならぬ「FRM(ファン満足度)重視」と題して営業の強化を行うようになりました。しかし、ファンは増えるけど予約数は増えない、店舗の新規獲得はできても継続してもらえない……といった、ビジネスとしては苦戦を強いられた時期でしたね。

 当時は営業部門と開発部門のコミュニケーションが難しい状況にあり、開発はユーザーにとって良いものを作りたくても、営業は店舗顧客にメリットがあるのかわからずストップをかける、そんなやりとりが多々生じていました。いわゆるプロダクトマネジメントがうまくいっていない状況にあったんです。そこから開発としても「飲食店の声も聞こう」「営業とのコミュニケーションを強化しよう」と行動を少しずつ変えていくうちに、契約飲食店の継続率も向上し、ネット予約も浸透してきたところです。

 予約システムは業界でも圧倒的に後発で、仕組みは5年前からあったのですが、実際に強化してきたのはこの1~2年です。特に2020年夏からの「Go To Eat」では、ポイントの付与が大きな誘引力になってユーザーの利用が増え、飲食店の手数料を無料にしたこともあって、多くの飲食店さんにネット予約機能を新たにご利用いただくことができました。

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すべてユーザーのために! 全社員が「User Happy」を胸にサービスに関わる

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

岡田 果子(編集部)(オカダ カコ)

2017年7月よりCodeZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。JavaScript勉強中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/154 2021/02/09 11:00

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