人気グルメ検索サイトの成長を両輪で支え続けるPMとEM
――通常のプロダクト開発と昨年の「Go To Eat」のようなイレギュラーな施策と、さまざまなプロジェクトや業務が並行して進んでいると想像されます。その中で、お二人はどのような役割を担われているのですか。
野口:私はプロダクト部門の執行役員として、プロダクトマネージャーやデザイナー、カスタマーサポートが所属する部門を統括しています。両方合わせて30名くらいの組織で、常松が所属するエンジニアリング部門と連携しながらプロダクト開発を担い、その開発スクラムのプロダクトオーナーでもあります。Rettyに入社したのは約6年前で、入社前にWebマーケティングやSEOなどの経験があり、最初はユーザーグロースチームやコンバージョン改善などを担当し、2018年頃からプロダクトマネージャーとして業務にあたるようになりました。
常松:私はエンジニアリング部門で、toC/toBのWeb開発のほか、アプリ、データ分析、インフラなどサービスに関わる開発を含めた全体マネジメントを担当しています。2019年6月に入社して、開発業務はもちろんですが、開発組織や開発プロセス、チームビルディングなど、組織を良くしていくための取り組みについても携わっています。
――Rettyのサービスはどのように成長してきたのでしょうか。また、プロダクトとしては現在どのような段階にあると認識されていますか。
野口:私の入社前、最初の2~3年は「CGM(Consumer Generated Media、消費者生成メディア)」として、ひたすらファン獲得に注力していたと聞きます。知り合いやSNSなどからグルメな人を見つけて投稿を依頼し、オフ会と称しておいしいものを食べながらフィードバックをいただくなど。今もなお私たちが大切にしている「User Happy」なサービス作りにつながるカルチャーは、初期段階に形作られたものなんです。
そして3~6年目くらいは、投稿が蓄積し「グルメ検索サイト」としてSEO・SEMの強化を行ってきました。「NAVERまとめ」など他社メディア・サービスへの露出も多く、毎月100万人ずつ増えていた時期もありました。ユーザーが増えたところで、今度は飲食店のファンを増やすようCRM(顧客満足度)ならぬ「FRM(ファン満足度)重視」と題して営業の強化を行うようになりました。しかし、ファンは増えるけど予約数は増えない、店舗の新規獲得はできても継続してもらえない……といった、ビジネスとしては苦戦を強いられた時期でしたね。
当時は営業部門と開発部門のコミュニケーションが難しい状況にあり、開発はユーザーにとって良いものを作りたくても、営業は店舗顧客にメリットがあるのかわからずストップをかける、そんなやりとりが多々生じていました。いわゆるプロダクトマネジメントがうまくいっていない状況にあったんです。そこから開発としても「飲食店の声も聞こう」「営業とのコミュニケーションを強化しよう」と行動を少しずつ変えていくうちに、契約飲食店の継続率も向上し、ネット予約も浸透してきたところです。
予約システムは業界でも圧倒的に後発で、仕組みは5年前からあったのですが、実際に強化してきたのはこの1~2年です。特に2020年夏からの「Go To Eat」では、ポイントの付与が大きな誘引力になってユーザーの利用が増え、飲食店の手数料を無料にしたこともあって、多くの飲食店さんにネット予約機能を新たにご利用いただくことができました。