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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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AIプロダクトの開発ストーリーから学ぶプロダクトマネジメント実践入門

AI時代のプロダクトマネジメントに必要なこと──AIプロダクト「Value Discovery」が生まれたワケ

AIプロダクトの開発ストーリーから学ぶプロダクトマネジメント実践入門 第1回


 近年、プロダクト開発やUXデザインなどの体系的な情報やノウハウが注目されていますが、実践的な情報が不足していることがよくあります。一方で、Generative AI(生成AI)の登場により、誰でも開発やデザインができる時代が近づいています。このような状況下では「ユーザーに真に求められる価値を提供する」プロダクトマネジメントが重要になってきます。そこで、今回の連載では「誰もがプロダクトを通して価値を提供できるようにする」というビジョンを掲げた「PM DAO」(プロダクト開発コミュニティ)によるAIプロダクトの開発ストーリーを通じて、実践的なプロダクトマネジメントのノウハウを解説します。

想定読者

  • 実践的なプロダクトマネジメントを学びたい個人開発者やプロダクトマネージャー
  • AIなどの新しい技術を活用してビジネスを展開したい起業家
  • Generative AIの開発プロセスを学びたいデザイナーやエンジニア

連載内容(予定)

 現在予定している連載内容は次のとおりです。

  • 第1回:GPTを活用したAIプロダクトの開発ストーリーの始まり(本稿)
  • 第2回:プロダクトマネージャーとしての0から1のプロダクトづくり
  • 第3回:エンジニアとしてのAIプロダクトの開発
  • 第4回:Generative AIのデザインとUX
  • 第5回:UXのためのプロンプトデザイン
  • 第6回:AIプロダクトの初期リリースにおける顧客フィードバックの重要性
  • 第7回:プロダクトマネージャー未経験からどうやって学び、立ち上がったか
  • 第8回:「Value Discovery」プロダクト開発の軌跡と学び

 全8回の内容を通して、立ち上げ初期の小さなチームによるAIプロダクト開発の軌跡を幅広い視点で取り上げていきます。

 各回では、開発メンバーの中からプロダクトマネージャーであるKazuki Hayakawa、プロンプトデザイナーのShoty、データサイエンティストのHasegawaがそれぞれの分野の専門知識を生かし、具体的な事例や方法を紹介しながら、Generative AIを活用したプロダクト開発やデザイン、マーケティング戦略などのノウハウを解説していきます。

 プロダクト開発に興味がある方や、新しい技術を活用してビジネスを展開したい方に向けた、実践的な情報が満載の連載となっています。

今回の概要

 第1回となる本記事では、AIプロダクト「Value Discovery」の開発のストーリー全体を紹介します。特に、アイデアから価値のあるプロダクトを作る方法や、開発におけるチームづくり、市場へのリリース、ユーザーの声に基づく改善プロセスなどの「初期のプロダクト開発での重要ポイント」を紹介します。

 さらに、開発元であるPM DAO(プロダクトマネジメント分野の実践的なコミュニティ)の活動や、GPTを活用したAIプロダクト開発の事例を通じて、新たな価値創造に挑戦する様子をお伝えします。

アイデアのはじまり

 アメリカの企業でプロダクトマネジメントの知識を実践しながら学んでいる私は、その経験を生かし、多くの人々に役立ててもらおうと活動してきました。SNSやイベントなどのさまざまな場での情報発信を通じ、私は同じ悩みを抱える人々と出会いました。彼らはプロダクトマネジメントの実践的な学びの場を探していたのです。

 私はそのような方々の声に応えるべく、プロダクトマネジメントにまつわる情報を整理し始めました。3年前、情報発信を始めた私は、記事を連載し、テンプレートを配布し、コミュニティをつくり、シンプルなツールを開発することで、初期段階のプロダクト、いわばMVP(※1)を創り上げていました。

 この過程で大切にしたのは、ユーザーの声に基づき「何を提供すべきか?」を考えて、価値を探すというプロセスです。その中で、ジョブ理論(※2)という考え方と出会い、目指すべきゴールとして「プロダクトを作る際に、本当に価値があるアイデアなのかを検証し、自信を持ってつくりたい」という共通した大きなジョブを見つけました。

 このゴールを達成すべく、これまで得た知見やノウハウを「実践的ジョブ理論」と名付けて記事を連載し、合計5万6147ビュー、150件以上の有料noteのご購入を達成しました。また、ノーコードで開発したツールは1か月で30名以上のユーザーに使っていただき、この領域に対する強いニーズをMVPという形で検証することができました。

 しかし、利用ユーザーの声を聞く中で1つの課題を見つけました。それは、指南書やテンプレートがあったとしても、実業務で使おうとすると「うまく言語化できない。頭では分かっていても整理できない。網羅的に考え抜くことができない」という共通した課題です。

 そこで、この課題を克服するために、最先端の技術であるGPT(※3)を活用する決断をしました。GPTをはじめとするGenerative AI(生成AI)の急速な普及により、「アイデアからプロダクトを創り出すことを、今まで以上に支援できる」と確信しました。これが、今回のプロダクト開発の始まりになります。

 詳細なプロダクト開発の0→1については、「第2回:プロダクトマネージャーとしての0から1のプロダクトづくり 」で掲載予定です。

(※1) MVP:Minimum Viable Productの略。最低限の機能を持ち、市場で最小限の需要を満たすことができる製品のこと。

(※2) ジョブ理論:人々が製品やサービスを利用する背景にある「求めている仕事(ジョブ)」に注目し、それを解決するための製品開発を行う理論。参考書籍:『ジョブ理論』 クレイトン・M・クリステンセン著、依田光江 訳、ハーパーコリンズ・ジャパン、2017年8月。

(※3) GPT:Generative Pre-trained Transformerの略。自然言語処理における最先端の技術の一つで、大量のテキストデータを学習して、人間のように文章を生成することができるAI。

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この記事の著者

早川 和輝(ハヤカワ カズキ)

 Salesforce米国本社でAI製品のプロダクトマネージャーを務め、日本、アジア、ヨーロッパの顧客支援とAI製品の改善に携わる。海外でのプロダクトマネジメントの経験を活かしPM DAOを創設。実践的な学習環境の提供、コミュニティ運営、プロダクト開発、大学機関向けの教育支援、企業向けコンサルティン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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