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ProductZine Day 2024 Winter

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AIプロダクトの開発ストーリーから学ぶプロダクトマネジメント実践入門

プロンプト設計の秘密 ~生成AIによるプロダクト価値の最大化~

AIプロダクトの開発ストーリーから学ぶプロダクトマネジメント実践入門 第6回


 AIプロダクト「Value Discovery」の開発ストーリーを通じて、実践的なプロダクトマネジメントのノウハウをお伝えしている本連載。前回と今回は書き手をExperience Designerのしょーてぃーさんにバトンタッチしてエクスペリエンスデザインを解説します。第6回では、具体的な手法を交えながら、AIプロンプトの設計、評価、最適化の考え方を紹介します。

はじめに

 近年、AI技術の進化と共に「プロンプト」というキーワードが注目されるようになりました。AIの文脈でこれは「AIに対する指示や問いかけ、要求を示すもの」を指し、AIの出力の質や内容を大きく左右する要素となっています。特に、Webサービスやプロダクトの開発に関しては、そのプロンプトの活用の仕方がサービスやプロダクトの肝になることがあります。

 しかし、このプロンプトの効果的な活用は決して容易ではありません。AIがどう解釈するかという「AIの解釈」と私たちの期待とのギャップ、出力の精度の磨き方、そしてユーザーの求めるものにどう応えるかといった課題があります。本記事では、これらの課題へのアプローチと、どのような点に気をつけるべきかを具体的に解説していきます。

1.AIモデルと自分の解釈のズレを理解する

 AIとのコミュニケーションを効果的に行うためには、プロンプトの重要性が増してきました。しかし、1つのプロンプトに対してAIがどのように解釈し、出力するのか、それが私たちの期待とどれだけ一致するのかは常に明確とは言えません

 このようなギャップが存在すると、求める出力を得られないだけでなく、ユーザーの期待を満たすことが難しくなります。そのため、最初に行うべきは、AIの解釈と私たちの期待がどれだけズレているのか、その差を明確にすることです。

 今回は分かりやすいようにあえて画像生成で使うプロンプトを例にとって考えてみましょう。例えば、「りんごの写真」というプロンプトを入力した場合、私たちが最初に思い浮かべるのは、赤くてジューシーな、おいしそうなりんごの画像かもしれません。しかし、そのAIモデルが学習している「りんご」とは、われわれがすぐに思い浮かべるものだけではありません。例えば、かじられたりんご、腐ったりんご、黒ずんだり傷んだりしたりんご、果てはりんごの成長過程や収穫の様子、そしてりんごが登場するアート、歴史や文化の中での表現(ダムとイブの禁断の果実、白雪姫の毒入りのりんご、ギリシャ神話の黄金のりんごなど)と、多岐にわたるものが学習されています。

 つまり、それまでにAIが学習した内容によって大きく出力が変わることを認識することが大切なのです

 われわれPM DAOが提供しているアイデアから仮説の生成を支援するサービス「Value Discovery」も消費者メカニズムであるジョブ理論のフレームワークを応用してプロンプトを作成していますが、チームメンバーが思い描くそれと一致しているのか、微調整を繰り返してきました

次のページ
2.初手と見立て:プロンプト作りの最初に意識すること

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この記事の著者

しょーてぃー(川村将太)(ショーティー(カワムラ ショウタ))

Experience Designer。 ビジネス、ユーザー、AIの視点を統合した体験設計を実践。大学時代サービスデザインの産学共同研究を通じ、イノベーション手法の開発・実践研究。2012年より楽天グループの顧客戦略統括部にてUXデザインを担当。100万以上のユーザーを持つ複数サービスのUXを...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/2061 2023/09/15 18:48

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