AIプロダクト初期リリースにおけるユーザーフィードバックの重要性
AIプロダクト開発において、ユーザーフィードバックは非常に重要な役割を果たします。特に、AIの出力結果にユーザーが違和感を感じたり、期待を満たせていなかったりする場合、ユーザーフィードバックはプロンプトの改善をするための重要な情報源となります。
また、AI以外の新たな機能開発や既存機能の改善にも、ユーザーフィードバックを活かせます。ユーザーフィードバックをもとにしたサービスの改善・開発ループ(ユーザーフィードバックループ)を下図に示します。
本連載の第4回「完璧よりも、早さを。生成AIプロダクトの開発初期のポイント」で紹介した生成AIを開発する際の3つのポイントも、すべてユーザーフィードバックをタイムリーに取り入れて実施しています。
例えば、当日の昼間にSNSのポストから得られたフィードバックをもとにプロンプトに活かすなど、ほぼデイリーで初期リリース後のアップデートを進めていきました。
今回はPM DAOで開発したAIプロダクト「Value Discovery」の初期リリースからどのようにユーザーフィードバックを獲得し、サービス改善に活かしていったのかを紹介していきます。
サービス開発の背景や始まりについては、第1回をご覧ください。
ユーザーフィードバックを収集する方法
Value Discoveryではユーザーからの直接的・間接的なフィードバックを集め、開発チームでのプロダクト改善や機能開発に活用しました。以下、それぞれのフィードバックについて簡単に紹介します。
直接的フィードバック
Twitter(X)
Twitter(X)でエゴサーチを行い、Value Discoveryに関する投稿を逐一チェック。リアルタイムなユーザーの反応を見ることで、実装した機能の効果やユーザーの使用状況、不満点などの情報を集め、サービス改善に活用しました。
Discord
Value Discoveryを通じてPM DAOのDiscordに参加したユーザーと直接対話し、サービス改善・開発の洞察を得ました。
フィードバックフォーム
サービス内に設置したフィードバックフォームで、ユーザーの評価や意見を収集し、低評価の出力については内容を確認してプロンプトの改善など、クイックなサービス改善に活用しました。
ユーザーアンケート
Value Discoveryに対するニーズと期待を理解するためにアンケートを実施し、結果からユーザーの行動を把握し、機能拡張や別サービスの開発に活用しました。
ユーザーインタビュー
1on1の半構造化インタビューを行い、ユーザーの課題感を詳細に確認。インタビュー結果を上位下位関係分析やユーザーフロー図として整理・分析し、機能拡張や別サービスの開発に活用しました。
間接的フィードバック
データ分析
ユーザーの利用履歴やアイデアの入力傾向を統計や生成AIを用いて分析しました。実装した機能がどのようなユーザーに使われているか、期待した効果を上げているかなどの現状確認や、ユーザーがつまずいている課題の発見を行い、サービス開発に活用しました。