編注
原文:「CHAPTER 03 Analyze user engagement」。翻訳にあたり若干加筆修正を行っています。
はじめに
ユーザーエンゲージメントの理解は、デジタル領域における効果的なプロダクトマネジメントの要です。あるユーザーが積極的にプロダクトに関わる一方、他のユーザーが関わらない理由を見極める能力は、プロダクトのパフォーマンスとユーザー満足度を最適化する上で極めて重要です。こちらの記事では、ユーザーエンゲージメント分析の複雑さを掘り下げ、重要な問いと方法論について解説します。
プロダクトの使用頻度を理解する
ユーザーエンゲージメント分析における基本的な問いの一つは、プロダクト使用頻度(フリークエンシー)が基本となったものです。典型的な使用間隔を特定することで、ユーザー行動に関する貴重な洞察を得ながら、エンゲージメントレベルに基づいてユーザーを分類できます。ユーザーが毎日、毎週、毎月、またはそれ以上の間隔でプロダクトに関わるかどうかは、プロダクトの性質やそのバリュープロポジション(ユーザーがプロダクトを購入する理由/前回参照)などの、さまざまな要因によって変わってきます。
例えば、One Medicalのようなコンシェルジ型の医療アプリの場合では、メインの価値は診療予約の利便性にあります。ユーザーの関わりは、6か月に1回の予約についても「非常にアクティブ」とみなされるかもしれません。一方で、TikTokのようなソーシャルメディアプラットフォームは頻繁なエンゲージメントにより成り立ち、ユーザーは一日に複数の動画を見たり、リアクションしたりしながら、毎日関わりを持っています。
プロダクトマネジメント戦略におけるパイオニアのReforgeは、「習慣ゾーン」というフレームワークの概念を紹介しています。プロダクトのバリュープロポジションに基づき、ユーザーアクティビティの最適な頻度を定義する重要性を強調したものです。プロダクトマネージャーの仕事は、プロダクトがユーザーの生活にどのようにフィットするかを見極め、それに合ったエンゲージメント指標を測定することです。
ユーザーセグメントを認識する
パワーユーザー、コアユーザー、カジュアルユーザーなど、異なるユーザーセグメントを認識することは、ユーザーのエンゲージメントパターンをより深く理解するために不可欠です。プロダクトマネージャーは、ユーザーの行動を分析し、バリューモーメント(価値を感じる瞬間)を定義することで、エンゲージメントレベルに基づいてユーザーを分類でき、追跡するためのコホートも作成できます。
パワーユーザー、コアユーザー、カジュアルユーザーの定義は、プロダクトの種類や固有のバリュープロポジションによって異なります。使用頻度を優先するプロダクトもあれば、ユーザーエンゲージメントの範囲や深さを重視するプロダクトもあります。ユーザーがプロダクトからどのようにバリューを得ているかを理解することは、意味のあるエンゲージメント指標を定義する上で極めて重要です。