ポイント2:聞きたいことを引き出すためのインタビューガイドを作成する
問いの構造化、仮説の整理ができたら、次はインタビューガイドを作成します。インタビュー調査は、どのように質問を投げかけるかによって回答が変わってきます。ガイドを作り込む前に、投げかける質問の案を作成し、自分たちが回答者の立場でも質問の意図を理解できるか、またそのように聞かれたときに、何を考えてどう言葉にするかをシミュレーションしてみるのがよいでしょう。
以下に、先ほどの旅行会社の例を掲載します。
「グループ旅行幹事で、困ったこと、対処が難しかったことで印象に残っていることを教えてください」という質問は、事前の制約なしでオープンに聞くので、こちらが想定していなかったようなお話を聴くことにつながります。一方で、どのような状況で発生したのか、具体的にどんな行動、言動があったのかを聞き出すのに時間がかかるので、1つの話に終始してしまうことが少なくありません。また、状況把握に時間を取られて、思考や感情まで引き出せずに「結局、どうしてそれが悩みだったのか、本質的な課題は何だったのだろう」ということに陥ることがあります。
それを補完する意味でも、事前に想定した「悩み・困りごと」の仮説を提示する設問を用意しておくのが良いでしょう。それによって、回答者がすぐには思いつかなかったようなエピソードを引き出すことができます。はじめのうちは、1つのエピソードに終始するよりも、いくつかのエピソードを引き出したほうが、その人が大切にしている考え方や、困りごとの根底にあるものが見えてくると思います。
また、回答者の実態を深く理解するためには、質問設計をする際に、次の点を聞き出すことを意識しておくのがよいでしょう。
- 状況:どのような状況下にあったのか
- 行動・言動:実際にどのような言動・行動をとったのか
- 思考・感情:その時に何を考え、どんな気持ちになったのか
- 知識・経験:対象について知識やリテラシーがどの程度あるのか
- 価値観:どのような価値や意味を見いだしているのか
インタビューガイドを作る際には、上記を踏まえて聞き方を設計し、事前の回答シミュレーションを基に、深堀りをするポイントや深堀り設問の聞き方についても定めておくと、インタビュー中にあわてなくて済みます。