ポイント1:仮説を明らかにして、質問を組み立てる
企画・準備編で「インタビューの目的や課題」「これだけは持ち帰りたいもの」を明らかにした後は、インタビューの仮説やインタビューでの聞き方などを具体的に整理します。
ここで、1つ例を出してみます。仮に、小さな旅行会社が、コロナ後に「グループ旅行」の販売を促進するために、旅行の幹事に向けた「お役立ちツール」を検討しているとしましょう。幹事がどのようなシーンで、何を必要としているのかを把握するために、インタビューをすることになりました。具体的には以下のような状況です。
企画・準備編では、「このインタビュー調査で何を明らかにしたいか、何が分かれば次に進めるか」についてメンバーで検討しました。メンバーからは、「いつ、どんな時にグループ旅行を企画しているのか」や「幹事をやる人はどういう立場、どういう性格の人か」などさまざまな意見が出てきました。
出てきた意見をまとめて、インタビューの目的・課題の優先度を決めていきます。そもそもインタビューで解決できる課題なのかどうかも考慮すると、「主となる問い(=これだけは持ち帰りたいもの)」「主ではないが優先順位が高いもの」「今回は聞かなくてよさそうなもの」を以下のように分類することができました。
このケースでは、主となる問いは「グループ旅行幹事にはどのような困りごとがあるか」「困りごとをどのように解決しているか」と定めました。それを明らかにするために、具体的にどのような聞き方をするのがよいかを検討した結果、何も制約をつけずに聞く「オープンな質問」と、仮説を整理した資料を提示して聞く「クローズドな質問」を組み合わせて用意するという結論に至りました。
後述のとおり、インタビューに慣れないうちは特に「クローズドな質問」を用意することをお勧めしますが、インタビューを深く有意義なものにするためには、質問をする、しないに限らず、インタビュー前に仮説を整理し、チームで共有しておくことが重要です。
仮説を出してしまうと、思い込みにとらわれて自由な発想を阻害するという意見もありますが、仮説を出すことは、自分では気づかなかった発想や心の奥底にあった声を明文化できるという効果もあります。仮説にとらわれてしまうのは本末転倒ですが、事前に自分たちの考えを整理し明らかにしておくことが、インタビューの目的達成の近道になるはずです。