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ProductZine Day 2024 Summer

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日本一のプロダクトと開発組織を目指す、jinjer社の飽く無き進化

目指すは日本一の開発組織──ティール型組織の導入で組織課題を“解決”し続けるjinjerのチームビルディング

日本一のプロダクトと開発組織を目指す、jinjer社の飽く無き進化 第1回


 2016年のサービス開始から多岐にわたるサービスをリリースしてきたjinjer株式会社。人事労務・勤怠管理・給与計算をはじめとするクラウド型人事労務システム「ジンジャー」を提供する中で、サービス領域の拡大とともに、開発組織の一体感や柔軟性がより重要視されるようになってきました。2023年にティール型組織の概念を取り入れ、個々のメンバーが主体的に動ける環境を整備。これにより、効率的かつ創造的なプロダクト開発体制を目指した新たな取り組みが始まりました。本連載では、jinjerがティール型組織を通じて開発組織をどのように強化し、プロダクトマネジメントの課題に挑んでいるのかをご紹介します。

開発組織における「チーム」の役割と重要性

 1つのプロダクト開発を成功に導くためには、複数の専門チームが協力し、各自の役割を最大限に発揮することが欠かせません。プロダクトの成長を支えるのは、個々のメンバーの主体的な行動と、チーム全体の調和です。これにより、単なる個人の成果が組織全体の価値(プロダクトの完成)として結実します。

 特に、プロダクト開発には、異なる専門性や視点を持つチーム(プロジェクトマネージャー、プロダクトマネージャー、プロダクトマーケティングマネージャー、プロダクトデザインチームなど)が集います。それぞれが違うバックグラウンドを持ちながらも、共通の目標に向かって進むためには、日常的なコミュニケーションの質を高め、チームビルディングを積極的に進める必要があります。これが、開発組織における持続的な成長の基盤となるのです。

「ヒエラルキー型組織」が、現代の開発組織のチームビルディングに最適とは言えない理由

 日本の多くの企業では、ピラミッド型の階層構造を持つ「ヒエラルキー型組織」を採用することが一般的です。背景としては「権限」と「責任」が明確であることから、組織の秩序を保ちやすく、意思決定や問題解決がスムーズに進むという利点があります。

 しかしながら、開発組織の現場から見ると、この構造が抱える課題は非常に大きいと言えます。例えば、各部門が縦割りになることで部門間の連携が弱まりやすくなったり、プロダクトに関する意思決定をトップダウンで行いすぎてしまうことが市場の素早い変化に合わせた迅速な開発を阻害したり、というケースが多々発生します。

 特に、市場が急速に変化する現代では、現場の判断力を活かした柔軟な意思決定が求められると感じています。その点で、ヒエラルキー型組織ではそれが実現しづらいと考えています。

 私たちjinjer社でも、ヒエラルキー型組織の限界を実感しました。当社は人事労務システムを提供していることから、毎年改正される法に対応し続けたり、人的資本情報開示の義務化など、市場のスピーディな変化に対して迅速な開発をしたりする必要があります。そのため、これらの変化に追随し、ユーザーへ迅速に価値を届ける必要があるプロダクト開発現場において、意思決定が遅れることは致命的です。上層部に依存する意思決定プロセスは、現場の状況を的確に反映できず、結果的として市場に寄り添った開発ができない「スピード」と「精度」を欠く事態を招いていました。

 このように、私たちはヒエラルキー型組織の限界を認識し、より柔軟な組織モデルへの転換を進める必要性を感じました。当社の過去の状況から見ても、開発組織における「チーム」の在り方として、ヒエラルキー型組織は最適ではないと考えています。

次のページ
開発チームの在り方を変える「ティール型組織」がもたらす価値

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この記事の著者

高村 亙(jinjer株式会社)(タカムラ ワタル)

執行役員 CTO プロダクト統括本部 プロダクト開発本部 本部長 組み込みエンジニアとしてさまざまな案件に従事。2019年に大手人材会社に入社しWeb会議システムや「ジンジャー勤怠」の開発責任者を担当。その後EC業界に転向しVPoEとしてプライムへの鞍替えに貢献後、オフショア開発企業にて役員と...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山本 大地(jinjer株式会社)(ヤマモト ダイチ)

プロダクト統括本部 プロダクト開発本部 VPoE 2017年に大手人材会社に新卒で入社。営業、CS、開発を担当しSIerに転向。数々の新規プロジェクトのマネジメントをしながら新規組織の立ち上げや組織拡大に貢献。2023年5月にjinjerに入社。現在はVPoEとしてエンジニア組織のマネジメントやプロダクトのグロースに関わる業務を担う。 X:@jinjer_daichi https://x.com/jinjer_daichi

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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