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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第4回。オフラインとしては2回目の開催です。

ProductZine Day 2025

ProductZine Day 2025

「Developers Summit 2025」レポート(AD)

ユーザーの声を可視化するAIの可能性、「TERUS」が示す新たなユーザー体験分析

【13-A-2】「ユーザー体験」を分析するAIで変わる「世界の当たり前」

 製品やサービスに対するユーザーの評価がSNSなどでリアルタイムに発信される現在、企業はユーザーの生の声を即座にキャッチし、フィードバックを製品やサービスへ反映することが求められている。しかし、複数のSNSに散らばる膨大な投稿を収集、精査、分析するプロセスは決して容易ではない。ソフトウェアの品質保証・検証を手掛けるベリサーブは、本音がわかる AI×体験分析プラットフォーム「TERUS」で、この課題を解決するという。Developers Summitの講演で同社研究開発部、瀬在恭介氏が、AIを活用してユーザーの声をくみ上げて製品/サービスの品質向上につなげる仕組みや具体的なデータを用いた活用方法を解説。AIがもたらす新たなユーザー体験分析の可能性に迫った。

編集部注

 本稿は、CodeZineに掲載された、ソフトウェア開発者向けカンファレンスDevelopers Summit 2025(デブサミ2025)のセッションレポートを転載したものです。プロダクトづくり、プロダクトマネジメントに近しいテーマを選りすぐってお届けします。

ユーザーの声が製品開発に生かせない現状

 製品やサービスの使用体験は、今や誰もがSNSを通じて気軽に発信する時代。企業は従来の“顧客層”という大きな枠組みではなく、ユーザー一人一人の声をリアルタイムに拾い上げることが可能になった。ポジティブ・ネガティブを問わず、ユーザーが発するさまざまな意見を適切に分析できれば、いま本当に求められている改善点やニーズを把握することができる。「こうしたユーザー体験を正しく把握し、マネジメントできれば、製品/サービスの品質向上、他社製品との差別化、ファン獲得なども可能だ」とベリサーブの瀬在恭介氏は語る。

株式会社ベリサーブ 研究開発部 瀬在恭介氏
株式会社ベリサーブ 研究開発部 瀬在恭介氏

 しかし実際には、このプロセスを構築し、運用することはそう簡単ではない。特に課題となるのが、ユーザーの“声”の収集である。

 ベリサーブが顧客企業にヒアリングを行ったところ、ユーザーの発信先が多岐にわたり、収集するだけでも一苦労であることや、膨大なデータを人手で精査・分析するには負荷が高過ぎることが明らかになった。また、市場にはキーワードベースで頻出単語の統計を出すツールは存在するものの、具体的な改善点を抽出・分析・報告するツールはなく、実行可能な洞察を得られないという声も多かった。これらの課題が解消されない場合、企業側とユーザー側の満足度に大きなギャップが生じ、商品のアンマッチによる売上低下やユーザーの離脱といった事態を招く恐れもある。

 この課題を解決するのが、本音がわかる AI×体験分析プラットフォーム 「TERUS」(Total Experience Realtime Utilize Service)だ。

本音がわかる AI×体験分析プラットフォーム TERUS
本音がわかる AI×体験分析プラットフォーム TERUS

 TERUSは、ユーザー体験をマネジメントするためのプラットフォームだ。2024年12月にローンチされたばかりの同プラットフォームは、SNSやECサイトなどに投稿されたテキストベースのユーザー体験情報を収集し、独自のAI技術を活用して分析する。これにより、例えばいま世の中に起きている消費者の課題は何か、どの国のどの年代・性別のユーザーがどのような課題を抱えているのかといった、誰もが理解しやすいコンテキストで物事を把握することができる。企業の広報・マーケティング施策だけでなく、行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進にも役立つと瀬在氏は述べる。

AIを活用してユーザーの投稿から意見を抽出

 TERUSは、ユーザー体験を効率的に分析するために、プロセスを大きく3つのステップに分けて実行する。

ユーザー体験を可視化する3つのステップ
ユーザー体験を可視化する3つのステップ

 ステップ1では、SNSやECサイトに投稿された膨大なユーザーの意見から、AIを活用して本当に伝えたい主張や事象を精査し、リストアップする。これにより、単なるノイズとなる情報を排除し、重要なインサイトを見逃さずに抽出することが可能になる。ユーザーの投稿はしばしば感情的な表現や曖昧な表現を含むが、AIが文脈を解析することで、より精度の高い分析が実現する。

 ステップ2は、文面は異なるものの、実質的に同じ主張や課題を抱える投稿を特許申請中の独自AIでグループ化し、重複を排除するプロセスである。これにより、意見がバラバラに見えていた情報が統合され、ユーザーのニーズや課題がより明確に浮き彫りになる。

 ステップ3では、分析したい観点に基づいて投稿にタグ付けを行い、分類・フィルタリングを実施する。これにより、特定の課題に対して深い洞察を得ることが可能となり、企業は的確な対応策を導き出せるようになる。例えば、製品の使い勝手に関するフィードバックを重点的に抽出すれば、ユーザー体験を改善するための具体的な施策が見えてくるといった具合だ。

 この3ステップにより、TERUSは膨大なデータから有用な情報を効率よく抽出し、実行可能な施策へとつなげることを可能にしている。

TERUSの活用シーンを考える

 では、実際にTERUSで何ができるのか。その効果をイメージしやすいようにと、瀬在氏はデモを通じて二つの仮想事例を紹介した。

TERUSでできること
TERUSでできること

 一つ目は、あるホテルに対する7年間分のSNS投稿データから宿泊体験を分析した仮想事例だ。投稿データは、約580件。これに対してAIによる精査を実施した結果、約5100件の具体的な意見が抽出された。つまりは、一つの投稿から平均して10件の意見が得られたことになる。

 デモでは、これらの意見をポジティブとネガティブに分類し、具体的な要素に基づき統計表を作成した。「これまでは、投稿内容から宿泊客の感想を推測するしかなかったが、TERUSを活用することで、スタッフの態度、部屋の広さ、朝食の評価、温泉の質といった要素ごとに具体的な意見数を知ることができる」(瀬在氏)。

 さらに、特定の意見をクリックすれば詳細なローデータを確認できることも示した。例えば、「スタッフの対応が悪い」という意見の中には「英語が話せないスタッフが多い」といった具体的な意見があり、投稿元のTripAdvisorから外国人観光客であることが判明。どの国の宿泊客がどのような目的で宿泊したのかも把握できることから、最終的にはインバウンド対応を強化するといった具体策の立案にもつながることが期待できる。

 二つ目のデモは、あるスマートフォン向けゲームアプリに関する投稿を分析したものを取り上げた。ここでは、瀬在氏は投稿データを時系列でグラフ化する機能のメリットにフォーカスしてデモを行った。

 そのゲームアプリの意見を精査したところ、「バグが多い」という不満の声が多数寄せられていることが分かった。そこで、瀬在氏はこれら意見を時系列グラフに直して表示。その結果、特定期間にバグに関する意見が急増したものの、その後は急速に減少していることが分かった。瀬在氏はこのデータを見て、「開発チームがバグ報告を見逃さず、迅速に修正を行ったことで、問題がすぐに解決したのだろう」と分析した。

 「弊社もそうだが、製品やサービスの開発フェーズであれば品質管理をうまく回せるが、製品リリース後となると、なかなか難しい。TERUSは、ユーザー体験という抽象的なデータを分かりやすい、具体的な意見へと落とし込み、可視化することで、改善点を把握して能動的な対応につなげる手伝いができる」(瀬在氏)

ユーザーと企業の建設的な循環システム

 ベリサーブはTERUSの新たな展開として、製品品質を上げるために顧客から声を吸い上げ、フィードバックサイクルをより効率的に回していく仕組みの開発を視野に入れている。

 瀬在氏は、「互いの意見を交わすことで製品やサービスをより良いものに変え、最終的にはより良い社会を作るための建設的な循環システムの一助になりたい」と語る。企業とユーザーが相互に意見を交わすことで、新たな価値創出の機会が生まれ、これまで以上に質の高い製品やサービスが生み出される環境が整うと同氏は期待する。

TERUSで目指す未来
TERUSで目指す未来

 瀬在氏は「この企業のこの製品が大好きだから、良い意見も悪い意見も伝えたい」とユーザーに思わせることが、これからの時代を生き残る企業の条件だと強調する。ユーザーの声を大切にし、積極的にフィードバックを取り入れる企業こそが競争を勝ち抜いていくことになる。

 TERUSはまだリリースされたばかりで、「これからもできることはまだまだある」と言う瀬在氏。今後も、ユーザーと企業のより良い循環を構築することを目指し、TERUSの進化と共に新たな取り組みを推進していくと述べた。

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提供:株式会社ベリサーブ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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