
プロジェクトが「燃える」前に動く存在
ビジネスの現場では、タスク管理の煩雑さや認識のズレが、進行を妨げる原因になることが少なくない。特に多様な職能を持つメンバーが関わるチームでは、タスクの抜け漏れや優先順位のあいまいさが、深刻なすれ違いを招きかねない。ヌーラボが提唱する「チームワークマネジメント」は、そうした問題を解消し、チームの成果を最大化するための実践知であり、前回の記事ではその中核を成す5つの要素について紹介した。
今回取り上げるのは、その5つの要素──「目標の共有」「役割の明確化」「分散型リーダーシップ」「コミュニケーションの設計」「心理的安全性の確保」──を裏側から支える新たな役割、「バックログスイーパー」である。
原田氏によれば、バックログスイーパーとは、Backlogなどのプロジェクト・タスク管理ツールを活用し、プロジェクトや日々の業務が滞りなく進むよう、裏側から流れを整える役割を担う存在だ。
「以前は一部のユーザーの方々の間で『Backlogポリス』と呼ばれていたのですが、『ポリス』というと、少し強制的な印象があります。それよりも、チーム全体を円滑に動かすサポート役でありたいという思いから、『スイーパー(掃除係)』という名前を付けました」

ヌーラボのビジネスグロース部におけるバックログスイーパーは、スクラムマスターのようにプロセスの改善やファシリテーションを担う側面もあるが、より横断的かつ実務的な視点で、チーム全体の業務に関与する点が特徴的だ。「タスクが放置されて炎上する前に拾い上げ、適切な担当者にアサインしたり、必要に応じてクローズしたりする。バックログスイーパーは、チームの仕事が滞らないよう背後から支える『見えないインフラ』のような存在です」と原田氏は語る。