プロダクトマネージャーに求められる大企業特有の要件とは?

プロダクトマネージャーの募集に関し、比較的プロダクトマネジメント組織の整備が進んでいる大企業とそうでない大企業に分けると、前者はテック系企業とあまり変わりません。募集されているのはプロダクトマネジメントやtoCビジネス向けアプリ開発の経験者など、これぞプロダクトマネージャーというスキルと経験、実績が求められています。
ところが後者の大企業では、さらに2つのオリジナル要件が加わる場合があります。一つは「プロダクトマネジメントのやり方、進め方、体制も含めてあなたが整備してください」といった役割が期待されるケース。もう一つは、プロダクト開発が新規事業立ち上げのような位置付けになっていて「プロダクト開発と同時に事業開発にも取り組んでください」という役割が期待されるケースです。この場合、事業開発の経験が要件としてアドオンされていたりもします。
給与面は業種、業態によります。テック系企業と比べ、メーカー系企業はやや低いですが、デジタル子会社を作り、プロダクトマネジメントの組織とカルチャーが確立されているケースでは同じような水準になりますし、総合商社や金融業界だとその業界水準の金額が提示されるので高くなることもあります。
あまり経験によらず年功序列的な形で年収が決まることが多いのも大手企業の特徴で、「この金額を出すとしたらうちの会社では本部長クラスになってしまうから……」と採用が難航することもあれば、「あなたと同じ年次の社員はこれくらいもらっているので、今より年収を上げられます」というケースもあります。
大企業で働く良さは、テック系スタートアップ企業と比べリソースが豊富である点です。資金があり、人材がいて、顧客データが蓄積されており、クライアントや取引先とのつながりが多く、スタートアップでは相手にされないような企業ともパートナーになれたりします。
その反面、やはり意思決定のスピードがテック系企業ほど早くなく、既存事業との比較で「何年で売上100億円規模に行くの?」と過剰な期待を持たれたり、ときには入念な根回しが必要になったりする面もあります。
従って、プロダクトマネージャーが大企業で働くマインドセットとしては、リソースはあるが業務の進め方はテック企業とは大きく異なる点を理解し、大手企業の歴史や既存事業、既存社員を尊重しながら動いていけるかどうかが非常に重要になります。