はじめに──前回までのおさらいと今回のテーマ
第1回では、1人目プロダクトマネージャー(以下、PM)とは「プロダクトを通じて事業を創る人」であること。第2回では、そのPMがまず“自分自身の立ち位置を確立し、チームに根を張ることの重要性を伝えました。
そして今回のテーマは、「戦略をどう描くか?」です。
プロダクトマネジメントにおける戦略とは、単なる計画ではなく、「未来(ToBe)」と「現在地(AsIs」の差分を埋める“架け橋”です。この回では、戦略思考の基本となる4つの視点──業界の未来/現在、会社の未来/現在を整理し、そのギャップから具体的な道筋を導く方法を解説します。
3.1 戦略立案には、“鳥の目”が必要
戦略とは、地図とコンパスを手にした上で「どの道を通って目的地に向かうか」を決める行為です。多くは戦略を単なる目標設定と捉えていることが多いのですが、これは間違いであると書籍『良い戦略、悪い戦略』(リチャード・P・ルメルト著、村井章子翻訳、日経BP)でも述べられています。
戦略立案にはまず、「どこへ向かうか(未来)」と「今どこにいるか(現在地)」を正しく認識する必要があります。
1人目PMにとって、その視点は4象限でとらえると整理しやすくなります。

- 業界の未来:この市場は今後どう変化するのか?
- 業界の現在:いま、どのようなプレイヤーが何をしているのか?
- 会社の未来:この会社はどんな姿を目指しているのか?
- 会社の現在地:現時点のプロダクト、組織、リソースはどんな状態か?
これら4つの状況を縦横に見比べながら、差分(ギャップ)を発見することが戦略設計の出発点になります。