はじめに──生成AI活用により、プロダクトマネージャーが担うリサーチ業務もアップデートされている
ファインディが主催するプロダクトマネージャー向けコミュニティイベント「PM Hub」では、現場での実践知を共有するLTイベント「PM LT Night」を定期的に開催している。2025年7月23日に開催された「PM LT Night」では、3社から登壇者が集まり、プロダクトマネージャーが直面するリサーチの課題と、生成AIを活用した解決策について、実践的な知見を共有しました。
編注
本記事では、「PM」はプロダクトマネージャーを指します。記事中の各位の所属および役職は、イベント開催時点(2025年7月23日)のものです。
LT1:「ユーザー理解の爆速化とPdMの価値」
- 発表者:梶村直人氏(株式会社カケハシ プロダクトマネージャー)

株式会社カケハシで薬局向け医薬品在庫管理AI発注システムの開発を担当する梶村氏は、物理的な医薬品の管理という複雑な課題に向き合う中で、オンライン情報だけでは理解が困難なユーザーの行動背景を、AIを活用して効率的に収集・整理する手法を確立しました。
社内の共通理解を進める生成AI活用
梶村氏は4つのアプローチでAI活用を実践しています。
1.クエリ自動生成システムの構築
まず、 Databricks(データブリックス)を使ったクエリ自動生成システムの構築です。データモデルとインストラクションを設計し、PMだけでなくデザイナーやCS担当者もさまざまな情報にアクセスできる環境を整備しました。「本当に今までだったら手間がかかるので調べなかったような情報」も、思いついた時にパッと調べられるようになり、データドリブンな意思決定が可能になりました。
2.定性調査の効率化
Datadogを使ったユーザー行動の詳細確認環境を構築し、個人情報保護の観点から躊躇していた情報収集も、AIとの対話を通じてマスキングが可能であることを確認し、細かく見れる環境を整備しました。

3.ヒアリング情報の可視化
文字起こしと議事録作成に加えて、Mermaidを使ったグラフ化を実践。議事録から業務フロー、イベントストーミング、ドメインモデル図などを自動生成し、社内のドメインエキスパートやエンジニア、デザイナーと「同じ目線でヒアリングした情報について話せる」環境を構築しました。

4.1次情報の共有
導入前の情報収集として、Difyを使った商談議事録の自動Slack投稿システムを構築。導入前の薬局の課題認識を生の声で記載する投稿にすることで、「営業から聞くような情報の二次情報じゃなくて、一次情報で同じ営業と目線で薬局の課題に向き合える」状態を実現しました。

総括:AIがもたらした“ユーザー理解”の進化
梶村氏は、AI活用の成果として「誰よりもユーザーの課題を愛し、チーム全体のユーザー理解を加速させる」というPMの価値を実現できたと語りました。忙しい日常の中で、AIの力を借りることで、これまで実現困難だった深いユーザー理解が可能になったと振り返っています。


 
              
               
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                          
                           
                              
                               
                  
                   
                      
                       
                      
                       
     
     
     
     
     
