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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

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Developers Summit 2026 「Dev x PM Day」

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ファインディのコミュニティイベント「PM Hub」レポート

生成AIにより進化するリサーチの現在値と実践値──PMたちが語る「AI活用のリアル」とは?

ファインディのコミュニティイベント「PM Hub」レポート 第14回

 ファインディ「PM LT Night」で、AI時代の「リサーチ」が議論された。カケハシ、Polyscape、ジグザグの3社が、AIによる情報収集・分析の効率化、多言語インタビューの壁、新規事業リサーチの高速化など、現場の実践値を共有。AIが仮説を加速させる一方、「肌感」や「実践知」といった人間の価値がどう活きるか。その最前線に迫る。(編集部)

はじめに──生成AI活用により、プロダクトマネージャーが担うリサーチ業務もアップデートされている

 ファインディが主催するプロダクトマネージャー向けコミュニティイベント「PM Hub」では、現場での実践知を共有するLTイベント「PM LT Night」を定期的に開催している。2025年7月23日に開催された「PM LT Night」では、3社から登壇者が集まり、プロダクトマネージャーが直面するリサーチの課題と、生成AIを活用した解決策について、実践的な知見を共有しました。

編注

 本記事では、「PM」はプロダクトマネージャーを指します。記事中の各位の所属および役職は、イベント開催時点(2025年7月23日)のものです。

LT1:「ユーザー理解の爆速化とPdMの価値」

  • 発表者:梶村直人氏(株式会社カケハシ プロダクトマネージャー)

 株式会社カケハシで薬局向け医薬品在庫管理AI発注システムの開発を担当する梶村氏は、物理的な医薬品の管理という複雑な課題に向き合う中で、オンライン情報だけでは理解が困難なユーザーの行動背景を、AIを活用して効率的に収集・整理する手法を確立しました。

社内の共通理解を進める生成AI活用

 梶村氏は4つのアプローチでAI活用を実践しています。

1.クエリ自動生成システムの構築

 まず、 Databricks(データブリックス)を使ったクエリ自動生成システムの構築です。データモデルとインストラクションを設計し、PMだけでなくデザイナーやCS担当者もさまざまな情報にアクセスできる環境を整備しました。「本当に今までだったら手間がかかるので調べなかったような情報」も、思いついた時にパッと調べられるようになり、データドリブンな意思決定が可能になりました。

2.定性調査の効率化

 Datadogを使ったユーザー行動の詳細確認環境を構築し、個人情報保護の観点から躊躇していた情報収集も、AIとの対話を通じてマスキングが可能であることを確認し、細かく見れる環境を整備しました。

3.ヒアリング情報の可視化

 文字起こしと議事録作成に加えて、Mermaidを使ったグラフ化を実践。議事録から業務フロー、イベントストーミング、ドメインモデル図などを自動生成し、社内のドメインエキスパートやエンジニア、デザイナーと「同じ目線でヒアリングした情報について話せる」環境を構築しました。

4.1次情報の共有

 導入前の情報収集として、Difyを使った商談議事録の自動Slack投稿システムを構築。導入前の薬局の課題認識を生の声で記載する投稿にすることで、「営業から聞くような情報の二次情報じゃなくて、一次情報で同じ営業と目線で薬局の課題に向き合える」状態を実現しました。

総括:AIがもたらした“ユーザー理解”の進化

 梶村氏は、AI活用の成果として「誰よりもユーザーの課題を愛し、チーム全体のユーザー理解を加速させる」というPMの価値を実現できたと語りました。忙しい日常の中で、AIの力を借りることで、これまで実現困難だった深いユーザー理解が可能になったと振り返っています。

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LT2:「新規事業におけるAIリサーチの活用例〜新規事業の企画・検証が加速していく〜」

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この記事の著者

ファインディ株式会社 プロダクトマネジメント室(ファインディカブシキガイシャ)

プロダクトマネージャー向けのイベントを開催しているコミュニティです。各社のプロダクトマネジメントに関する取り組み事例や成功事例をLTやパネルディスカッションを通じて共有し、またプロダクトマネージャー同士の懇親の場を設け、それぞれが取り組んでいる課題やベストプラクティスについて話し合い、社内に閉じがち...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/3829 2025/10/31 11:00

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