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Developers Summit 2026 「Dev x PM Day」

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「プロダクトマネージャーカンファレンス 2025」レポート(AD)

d払いはなぜ「年間150回の改善」ができるのか? 巨大組織をアジャイルに変えた「武器と参謀」

実践例:「ユーザースキャン」を1.5倍改善した分析プロセス

 では、実際にどのようにデータが活用されているのか。セッションでは「ユーザースキャン決済(店舗のQRコードをユーザーが読み取る決済)」の改善事例が紹介された。

 ロイヤルユーザーの利用頻度が高いこの機能だが、データを見ると「一部のユーザーが決済を完了できずに離脱している」という事象が見つかっていた。以前であれば、ユーザーの課題の仮説検証に時間がかかっていたが、現在のd払いチームはここからすばやく深掘りを行える。

  1. ファネル分析:決済フローのどこで落ちているかを特定。その結果、「カメラ読み取り」の段階に課題があることが判明
  2. 属性分析:年代別・利用状況別にクロス集計を行い、仮説を洗い出す
  3. ジャーニー分析:離脱したユーザーがその前後にどのような行動をとっているかを可視化し、仮説を補強する

 これらをAmplitude上で即座に分析した結果、ボトルネックは「カメラのアクセス許諾」にあることが特定された。

 従来のアプリでは、カメラ権限がオフになっている場合、OS標準の無機質なテキストダイアログが表示されるだけで、ユーザーは何をすべきか直感的に理解できていなかったのだ。

Amplitudeを用いたファネル分析などの画面
Amplitudeを用いたファネル分析などの画面

データが「確信」に変わる

 チームはこの結果をもとにUIを改善。テキストだけの案内をやめ、イラスト付きで「設定画面でカメラをオンにしてください」と視覚的に誘導する画面へと変更した。

改善前後のUI比較と成果
改善前後のUI比較と成果

 効果はてきめんだった。改善後の画面が表示されたユーザーの決済完了率は、改善前と比較して約1.5倍に向上。

 小さなUIの変更だが、データに基づいてボトルネックをピンポイントで突き止め、その効果を数値で検証できたことは、チームにとって大きな成功体験となった。

 「ボトルネックの特定から施策の立案、そしてリリース後の効果検証まで、誰でも自分たちの手でスピーディーに完結できる。これが『価値検証の民主化』です」(阿部氏)

1000人が分析する組織へ。B2Cプロダクトの「勝ち筋」

 現在、NTTドコモ社内におけるAmplitudeの利用ユーザー数は1000人を超えている。企画、開発、デザイン、マーケティング──職種の垣根を超えて、誰もが日常的にデータに触れ、共通言語として語り合う文化が定着した。

 この変化は、組織の意思決定プロセスにも変革をもたらしている。

 「以前はリリースの承認に数日かかることもありましたが、現在はデータに基づいた明確な根拠とスコアリングがあるため、担当者レベルに権限委譲が進み、承認プロセスが大幅に短縮されスピーディーに完了することもあります」(セッション終了後のQ&Aより)

 巨大組織でありながら、スタートアップのようなスピード感で「出す→学ぶ→直す」のサイクルを回す。

 その結果、外部機関による顧客満足度調査での評価に加え、アプリストア(App Store/Google Play)におけるレビュー評価も「★4.5」を超える水準(2025年11月時点)を記録 。かつては★4以下だった評価が、改善サイクルの高速化により劇的に向上するなど、ユーザーからの支持を着実に伸ばしている。

 阿部氏はセッションの最後をこう締めくくった。

 「d払いは決済だけでなく、金融領域全体でお客 様の生活を便利にすることを目指しています。そのためには、データに基づいたお客様視点の学習サイクル(ラーニングループ)を回し続けることが不可欠です」

 「作りたいもの」を「作れる組織」へ。 そして「作ったもの」の価値を「即座に証明できる組織」へ。ドコモとDearOneの取り組みは、規模の壁に苦しむすべてのプロダクトチームにとって、一つの「勝ち筋」を示していると言えるだろう。

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この記事の著者

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。 1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテック...

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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