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Developers Summit 2026 「Dev x PM Day」

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DIGGLE流で考える、シニアプロダクトマネージャーの輪郭

なぜスキルを積み上げても「シニアプロダクトマネージャー」になれないのか

DIGGLE流で考える、シニアプロダクトマネージャーの輪郭 第1回

 プロダクトマネージャー(PM)として経験を積み、個別スキルを磨いても、なお超えられない「シニア」への壁。その正体はスキルの不足ではなく、戦う「問い」の質の変化にあります。本連載では、DIGGLE株式会社のVP of Product・本田大晟氏が、ミドルPMとシニアPMの間に存在する「キャズム」をどう乗り越えるかを解き明かします。正解のある判断から、正解のない「ビジネスを作る」意思決定へ。組織と事業計画という2つの視点を軸に、不確実性をコントロールし、泥臭く実行し続けるための要諦を解説。スキルの延長線上にはない、シニアPMとしての真の輪郭を浮き彫りにします。(編集部)

はじめに

 プロダクトマネージャーという職種が広がるにつれ、「ミドルプロダクトマネージャー(以下、ミドルPM)」「シニアプロダクトマネージャー(以下、シニアPM)とは何か」といった議論を目にする機会が増えました。昨年、プロダクトマネージャーコミュニティでもこのテーマに関する記事や議論が活発になっていたのを覚えている方も多いと思います。

 ただ、これは一時的な流行やバズではないと感じています。背景にあるのは、あらゆる事業会社でプロダクトマネージャーという職種が一般化してきた一方で、プロダクトマネジメントという職能自体には、いまだ確固たる定義が存在しないという現実です。

 会社や事業フェーズによって求められる役割は異なり、同じ「プロダクトマネージャー」という肩書きでも担っている責任範囲や期待値は大きく違います。ある会社では「仕様策定と開発推進」がプロダクトマネージャーの中心かもしれないし、別の会社では「事業責任者レベルの意思決定」まで含まれているかもしれません。あいまいであるがゆえに、組織の規模が大きくなればなるほど、現場ではこうした会話が増えていきます。

  • 「プロダクトマネージャーって結局どこまでやるの?」
  • 「この判断は誰が持つべき?」
  • 「シニアって何ができる人?」

 そのあいまいさが一定の規模を超えたときに、「そろそろ整理したい」「言語化したい」というニーズとして表に出てくる。昨年の議論の盛り上がりは、そうした必然の表れだったのだと思います。

なぜ今、あらためて「シニア」を言語化する必要があるのか

 私自身にとっても、このテーマをあらためて考えるきっかけがいくつかありました。

 一つは、DIGGLEにおけるプロダクトマネージャーの人数が増えたことです。2025年の初めには3人だったプロダクトマネージャーが、2026年現在では6人になりました。3人までのフェーズであれば、組織としてはまだ小さく、私自身が直接フィードバックをしたり、自分の立ち振る舞いを起点に、プロダクトマネージャーの役割を暗黙的に共有することができていました。

 しかし人数が増え、かつ経験あるプロダクトマネージャーを中心に採用するようになると、状況は変わります。1人で全員の行動を細かく見て、同じ熱量で育成・レビューし続けるのは現実的ではなくなります。さらに、経験のある方のよさを最大限活かすには、「自分と同じやり方」を求めるのではなく、違うやり方も尊重しながら成果を出してもらう必要が出てきます。

 つまり、人数が増えることは単に「手が増える」ではなく、暗黙知で成立していた“期待値”が崩れるということでもあります。だからこそ、そのときに初めて、「何を大切にしてほしいのか」「どこまでをプロダクトマネージャーの責任範囲と考えるのか」を、言葉として定義しなければならないフェーズに入ったと感じました。

 もう一つの変化は、私自身の立場です。2025年8月から、私はVP of Productとして経営チームにジョインしました。従来の「プロダクトマネージャー」という肩書きから一歩外れ、一方でプロダクト全体の責任者として、プロダクトマネージャーという役割を俯瞰的に捉える立場になったことで、中にいたときには言語化しきれなかった違和感や問いが、より構造として見えるようになってきました。

 こうした背景から、あらためて考えたいと思ったのが、次の問いです。

  • 「なぜ、スキルを積み上げてもシニアPMになれないのか」
  • 「ミドルPMとシニアPMの違いは、どこにあるのか」

DIGGLEにおけるシニアPMの定義

 まず前提として、DIGGLEではシニアPMを次のように定義しています。

 シニアPMとは、

  • 「ビジネスを作る力」を引き受けることができ、
  • プロダクト(プロダクト本体とそれを支える組織)を軸に、
  • 戦略を描き、実行し続けられる人のこと

 ここで言う「ビジネスを作る」とは、単にプロダクトの機能やUXを改善することではありません。より具体的には、次のような営みの集合です。

  • 1〜5年スパンの事業計画を前提にする
  • 市場・競合・自社のケイパビリティを踏まえる
  • 「プロダクトとしての『意志』をどこに置くか」を定める
  • それを実行できるように組織や仕組みを整える
  • 全社を巻き込みながら推進していく

 ポイントは、戦略を「描く」ことではなく、実行し続けることが定義に含まれている点です。

シニアPMとベテランPMは何が違うのか

 この定義をすると、よく混同されるのが「シニアPM」と「ベテランPM(単に経験年数が長い人)」の違いです。私は、この2つは同義ではないと考えています。

 ベテランPMがシニアPMであるケースはありますが、シニアPMが必ずしもベテランPMであるとは限りません。経験年数やスキルの多さだけでは、この差を説明できないからです。

 ここで言いたいのは、「経験がある/ない」ではありません。「何に責任を持っているか」と、「どんな問いに向き合っているか」の違いです。同じ10年でも、正解が見える領域を長く回してきた人と、正解のない判断を引き受け続けてきた人とでは、立っている場所が変わってしまう。私はその差を「シニア」という言葉の中身として捉えたいと思っています。

次のページ
なぜスキルの延長線上に、シニアPMはいないのか

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この記事の著者

本田 大晟(DIGGLE株式会社)(ホンダ タイセイ)

立教大学経済学部卒業後、Retty株式会社に新卒入社。入社当初はデータアナリストとしてプロダクト・ビジネス両面の意思決定支援に従事したのち、toB向けプロダクトのプロダクトマネージャーを担当。2022年 DIGGLE株式会社に入社、プロダクトマネジメントチームの立ち上げから組織化に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/4049 2026/02/26 11:00

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