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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第2回開催です。

ProductZine Day 2024 Winter

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スモールチームが武器になる時代へ ~小さい集団×Nがプロダクト開発にもたらしたもの~

スモールチームと技術の力学――プロダクト開発の価値最大化を可能にした進化と背景

スモールチームが武器になる時代へ ~小さい集団×Nがプロダクト開発にもたらしたもの~ 第1回


 本連載は、近年のプロダクト開発では当たり前となった「スモールチーム(小さい集団)」での開発について、あらゆる側面から分析していきます。スモールチームが前提になった背景には、アジャイル型の開発、クラウドを中心としたあらゆる技術進化が影響しています。それによって、チームの形状や計測性、仮説検証のやり方までもが変化し続けています。連載を通して、なぜスモールチームが当たり前になっているのか、明日からでも取り入れられるプラクティスは何かをご紹介できればと思います。本連載は合計4回を予定しています。

連載一覧(予定):

  • 第1回:スモールチームと技術の力学(今回)
  • 第2回:スモールチームの型 ~アジャイル/スクワッド~
  • 第3回:スモールチームの観測性 ~何を評価とするか~
  • 第4回:スモールチームと仮説検証

スモールチームは、技術の進化とともに

 近年の技術進化は、システムの形だけではなくチームの形も変えてきました。大きなムーブメントの一つが、表題にもある「スモールチーム」です。最近は多くの現場で、スモールチーム(少人数)をベースとしてプロダクト開発を進めている様子を目撃するようになりました。

 その背景には、アジャイルの登場から、クラウド、マイクロサービス、CI/CDの進化を中心とした「技術」の発展があります。これらの概念×技術がもたらしたものは「チームの独立性」の向上です。1つのチームで行う活動のバッチサイズ(処理量)がどんどん小さくなり、疎結合の集団体(チーム)が増えています。その点と点がスモールチームと技術のエコシステムによって掛け合わせられるようになりました。また、その功績の一つとしてその活動のほとんどが計測可能にもなりました。

 一方、実際の現場に目を向けると、なんとなくの責務でプロダクトや機能を分解して、そこにチームを割り当て、アジャイルっぽくイテレーションを1、2週間で区切って開発を進めているチームも多いのではないでしょうか。

 なぜ、スモールチームが良いのか。どの粒度でチームを分割し、構造を変えるべきかに悩んでいる方も少なくはないと思います。そうした課題感をお持ちの方を対象に、これまでどういった技術を発展させ、スモールチームでのプロダクト開発を可能にしてきたのか、片鱗をご紹介できればと思います。スモールチームは、技術進化とともに日々のその形をアップデートしてきました。

 本記事では、歴史的な背景の理解に重点を置いています。世の中にあるプラクティスを取り入れることは簡単ですが、それは「型」をなぞっているだけになってしまいます。きちんと、その技術やスモールチームでの開発が当たり前になった背景、経緯をなぞることでより深く実践できるようにしていきます。実際のプラクティスや事例は、第2回目以降で散りばめていければと思っております。ご期待ください。

プロダクトを作る術(技術)とプロダクトを作る人(組織)

 では、まず「なぜ、スモールチームの話をしているか」を見ていきましょう。プロダクト開発におけるプロダクトマネジメントの基本は、「何を作るか」それを「なぜ作るのか」を考えることです。その2つに対して、正しい戦略で、正しい戦術をもとに、正しいリソースを使って、多くは限りある予算の中で「ヒト・モノ・カネ」を使い、3つの正しさを動かしていきます。この中で、1番難しくもありながら、レバレッジが1番効くのが「正しいリソース」の部分です。つまり、人。その人が作り上げるのがシステム=プロダクトです。

 プロダクトマネージャーが、まず考えることの多くは、どうやってコスト(イニシャル、ランニング)を抑えながらも、良いプロダクトを継続的にユーザーに届けるかでしょう。よりコストを抑えながら、ROI(投資対効果)が高く、レジリエンスが効いたプロダクトが作れることに越したことはありません。

 ただし、言うは易しです。とても難しいことです。少数精鋭という言葉がありますが、そこまで都合よくスーパーヒーローが採用できるわけはなく、今の組織にいる人の力量が、現組織のケイパビリティの限界。つまりプロダクトの限界です。

 ただ、できることはあります。それは、組織の構造やプロセス、技術の相関性をマージしながら歯車を回すことです。

 プロダクトを作る術(技術)とプロダクトを作る人(組織)の歯車が噛み合っていない状態では、スピード感を持ってプロダクトは前には進みません。

 この部分を本記事では、スモールチームと技術の力学という切り口で、チームの価値を最大化するアプローチを見ていきます。当然、その前段にある「何を作るか」「なぜ作るか」といった正しい戦略(方向性)、正しい戦術を定めることは大前提です。ここについては、連載4回目の記事で説明します。

次のページ
すべては「スモールチーム」を前提とした技術進化へ

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この記事の著者

石垣 雅人(合同会社DMM.com)(イシガキ マサト)

DMM.com プラットフォーム事業本部 メンバーシップサービス部 部長 / VPoE室兼務 2015年度 エンジニア新卒入社 2020年度より、DMMの入り口である総合トップなどを管轄する総合トップ開発部の立ち上げを行い、部長を務める。 現在は、DMMポイントクラブサービスの立ち上げから...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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