1. クリティカルイベントという指標
この「好循環ループ」を構築する上で、まず重要なのがプロダクトの利用状況を正確に把握することです。このとき、多くの方が利用している指標がDAU(=1日のアクティブユーザー数)やMAU(=月間アクティブユーザー数)かと思います。ところが、これらの指標は、プロダクトへの接触状況を計測するには十分な指標であるものの、利用状況を計測するには決して十分な指標とはいえません。
プロダクトの利用状況を把握するには、クリティカルイベントの計測が肝心です。クリティカルイベントとは、ユーザーがプロダクトの価値を享受するアクションを意味します。言い換えると、「価値の交換が発生した状態」です。
- クリティカルイベント:ユーザーがプロダクトの価値を享受するアクション
より具体的に見ていきましょう。クリティカルイベントは、プロダクトによって異なります。例えば以下の表にあるユーザーアクションがあげられます。
プロダクト | クリティカルイベント例 |
---|---|
音楽ストリーミングサービス | 楽曲の再生 |
ゲーム | ゲームの実行 |
トラベル | 旅行パッケージの予約 |
Amplitude | チャートクエリ実行 |
以下は、ある音楽ストリーミングサービスのDAU(青線)と、クリティカルイベントである「楽曲の再生(赤線)」を実行したユーザーの推移を比較したチャートです。このチャートからも分かるように、DAUと「実際にアクションをした」ユーザー数の間には開きがあります。
(上記チャートは、こちらでユーザー登録後に体験できます)
一般的に、DAUやMAUは単純なプロダクトとユーザーの接触を示すデータであり、クリティカルイベントの実行有無、つまりプロダクトの利用状況を把握することはできません。プロダクトに接触したユーザーが、必ずしもクリティカルイベントを実行するとは限らないからです。