はじめに「顧客課題」に対して、ラフな解決策を考える
顧客課題、つまり人々の「悩み・困りごと・ニーズ」のアイデアを出した後、すぐにその仮説を検証するのではなく、解決策の可能性を考えておきましょう。この段階では、解決策に独自性や具体性があることを深く意識する必要はありません。それよりも、顧客課題に対して自分たちがどう向き合うか、解決策にはどんな方向性があるのかをチームで考えることに注力します。といっても、具体例がないと分かりにくいので、ここからは実際にDSRチームの事例を基に解説します。
DSRチームでは、「グループ旅行の幹事の困りごと」をテーマにアイデアを出しました。実際にグループ旅行の幹事になったつもりで意見を出し、その中から「初めて行く場所だと、予定どおりに行動できない人がいた場合にどうしたらよいか不安になる」という困りごと(顧客課題)を選び、解決策を考えることにしました。
MVPを設定し、そこに至るまでの思考・行動・感情を具体的に考える
解決策を考えるにあたり、まずは「何がどうなったら、小さな成功と言えるか」という直近のゴールを考えます。MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)の元になる部分です。プロセスは割愛しますが、DSRチームでは「旅行メンバー全員の位置情報が分かり、連絡が取れる状態にあること」と設定しました。では、幹事がどのような思考や行動をたどれば「旅行メンバー全員の位置情報が分かり、連絡が取れることがうれしい」という状況になるのでしょうか。
ここでは、スタート(最初の行動)から直近のゴールまでの間に、実際に起こりそうなこと(事象)や、想定顧客の思考・行動・感情の可能性を考えます。その中でも特に再現性が高く、深刻な事象/思考・行動・感情に着目して、その解決策を考え出していくことがプロダクトの種につながるのです。