KPMGコンサルティング、「生活者に支持される顧客体験に関する調査2023-2024」レポートを発行

　KPMGコンサルティングは、KPMGインターナショナルが2023年に日本を含む21の国・地域で実施したブランドの顧客体験に関する調査「Customer Experience Excellence調査（CEE調査）」をもとに、日本企業およびブランドの顧客体験に関する調査の結果と、そこからみえた顧客体験の構築・向上における重要な要素やトレンドの変化などをまとめたレポート「生活者に支持される顧客体験に関する調査2023-2024」を、3月21日に発行した。

　同レポートでは、KPMGが14年間にわたってブランド調査を実施する中で定義した、優れた顧客体験を構成する「パーソナライズ」「親密性」「利便性」「誠実性」「期待の充足」「問題解決力」で構成される「Six Pillars（6つの要素）」や、「バリュー（価格に見合った価値）」「推奨度」「ロイヤルティ（今後も使い続けるか）」「各タッチポイントチャネルの満足度」などについて評価を行い、「CEEスコア」として集計している。

　今回の日本における調査では、娯楽・レジャーや物流、小売業界に加えて、新たに自動車業界を加えた10のセクターを対象に、235のブランドのうち有効回答数100以上を獲得した192のブランドについて、顧客体験の卓越性を示すCEEスコアをもとにランキングするとともに、Six Pillars各要素の重要度の推移や変化し続ける顧客ニーズに合わせて柔軟かつ迅速に対応するための視点などについての考察を行った。

　調査結果によれば、Six Pillarsの中でも「パーソナライズ」がもっとも重要度の高い要素となり、生活者はより自身のニーズやライフスタイルに最適化されたサービスや製品を求めていることがうかがえる。また、この3年間で「期待の充足」の重要度が低下する一方で、「誠実性」と「親密性」の重要度が増しており、生活者が期待するサービスや体験を得られるだけでなく、企業やブランドに対する信頼と、感情的なつながりや共感をより重視することがわかった。一方、「利便性」と「問題解決力」は他の要素と比較して重要度が低く、これらの要素がサービス利用における当然の要素と捉えられており、ブランドに対する共感や差別化には大きくつながらないと考えられる。

　今回の日本での調査における対象ブランドの平均CEEスコアは、過去3年間の調査の中で最高スコアを記録した。日本の企業やブランドの中でテクノロジーの活用やサステナビリティへの取り組みが浸透しつつあり、それらが生活者から一定の評価を獲得し始めていることがうかがえる。また、6つの要素の中で唯一「期待の充足」が前回の調査から平均スコアを下げており、生活者の期待水準の上昇に企業やブランドのサービスレベルが追いついていないと考えられる。

　トップ10ブランドには、非日常や高級感を演出するエンターテインメントリゾートをはじめ、ラグジュアリーファッションブランドやスポーツブランド、自動車メーカー、百貨店などがランクインした。前年の調査で30位以内にランクインしたブランドの60％が、今年も30位以内にランクインしており、顧客体験評価の上位ブランドはその高い評価を維持し続けている。

　CEEスコアの上位ブランドをみると、CEEスコアとブランドロイヤルティは強く結び付く、「バリュー（価格に見合った価値）」は顧客体験評価の上で必ずしも重要ではない、トップブランドほど生活者との情緒的なつながりを実践していることがうかがえる。

　セクター別では、前年に引き続き「娯楽・レジャー業界」がもっとも高い顧客体験評価を獲得しており、今回新たに調査対象として追加された「自動車業界」、前回から1つ順位を上げた「小売（食品以外）」がそれに続いた。調査対象に自動車業界が加わったことで、多くのセクターが順位を下げる中で、「物流業界」は前回から順位を上げている。