プロダクトフォースは、マーケティングアプリケーションズと共同で主要プレイヤーの洗い出しやカテゴリー検討などの業界分析を重ね、「セルフリサーチサービスカオスマップ2024年版」を作成・公開した。
セルフリサーチとは、企業自らがおもにクラウド型のリサーチサービスを活用し、顧客に関する一次情報を収集する活動。自社で機動的かつ迅速に情報収集を行い事業の成果につなげていくことで、顧客のニーズを捉え、競合他社との差別化が可能となる。
昨今のAI技術の進展により商品やサービスづくりの手法の技術革新が進む中でも、顧客理解の重要性は変わることがなく、インターネット検索では取得が難しい顧客の一次情報の収集はより重要度を増していくと考えられる。企業においてスピーディーかつ気軽に顧客の情報を得たいというニーズが増していることから、セルフリサーチサービスに関心ある企業が各サービスを利用する上で参考にすることで、より一層の市場活性化に貢献できればとの思いから同マップは作成された。
同マップは国内で利用されている37のセルフ型調査サービスを、調査手法別に「定量調査(左側)」と「定性調査(右側)」の2つの軸で整理している。定量調査はアンケート調査に代表される、収集したデータを数値化することを想定した調査で、定性調査はインタビュー調査に代表される、対象者の発話や行動などの質的なデータの収集を目的とした調査を指す。
2024年版の特徴は以下の3点。
1.定量調査では国内事業者がパネル統合型のサービスで、設計から実査を一気通貫で提供
定量調査では海外サービスがアンケートフォームの作成に特化したサービスを展開する一方で、国内事業者はアンケートフォームに加えてリサーチパネルを統合してサービス提供しているという点で非常にユニークな発展をしている。パネルを統合することにより利用者は自身でアンケート回答者を集める必要がなく、数日間でのアンケート調査が可能。直近ではセルフ型で海外調査が可能なサービスも出てくるなど、企業において活用可能なシーンが今後より増えてくると考えられる。
2.定性調査は新興企業が台頭、調査支援サービスも複数生まれる
定量調査は大手の調査会社が提供するサービスが多く見られる一方で、定性調査はスタートアップがサービス提供をおこなうケースが多く見られた。これは、コロナ禍を経て定性調査においてオンライン化が進み、新たな市場参入の余白が生まれたことや、企業側でも定性調査への関心度が高まってきていることが背景としてある。また、定性調査の機会が増えることで、定性調査で取得した情報の分析や情報の利活用を支援する調査支援サービスも新たに生まれてきている。
3.定量・定性はそれぞれプレーヤーが異なるも、越境するプレーヤーも出現
セルフ型の定量および定性調査はそれぞれ異なる事業者がサービス提供を行ってきたが、直近では両方の調査手法を可能とする越境プレーヤーが増加している。これは、利用企業側でのセルフリサーチの活用が進展したことで、両調査手法を組み合わせて実施したいという新たなニーズが出現していることが理由として考えられる。利用企業にとっては、1サービスであらゆる調査手法を実施できることはサービス導入ハードルの低減にもつながるため、このトレンドは加速する可能性があり、注目したいポイントとなっている。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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