ポイント3:当日のインタビュアーの心構え
回答者の潜在意識を引き出すことがインタビュー調査のキモになります。相手が置かれていた状況や、その時の言動、行動など事実把握はもとより、表面的な理解にとどまらず思考、感情、願望、価値観などを捉えて、回答者やプロジェクトメンバーが「そういうこと!」と思わず言ってしまうようなインサイトを導き出すようにすることを心がけましょう。
といわれても、初めてのインタビューは、緊張してそれどころではないかもしれません。場数を踏めばだんだんと落ち着いて対処できるようになるので、まずは、基本として以下の点を心がけましょう。
1.相手が話しやすい雰囲気を意識する
インタビューのマニュアルなどを読むと「ラポールを形成しましょう」という言葉がよく出てきます。ラポールとは、相手と信頼関係が結ばれている状態を表す心理学用語です。インタビュー調査は、初対面の相手から有益な情報を引き出すことが求められます。それにはまず初めに心理的な壁を取り除き、話しやすい雰囲気を作ることがとても重要です。用意した質問を杓子定規に読み上げるのではなく、冒頭に話しやすいテーマで会話を投げかけたり、相手の言葉に対して「あなたのお話に興味を持っていますよ、共感していますよ」という姿勢を見せたりして、相手の緊張を解くようにしましょう。
2.思考・感情に着目して話を掘り下げる
インタビューでは、状況や行動だけでなくその背景にある考え方や感情を聞き出すことが大切です。例えば、ある行動をとったときのきっかけや理由、そのときの気持ちを引き出すことで、より深く相手のことを理解し、新たな発見を得ることができます。思考や感情を捉える上で「どういう状況下で起こったのか」「その時どう行動したか」という事実の把握は必要です。ただ、範囲を広げすぎないようにしてください。実態把握にばかり時間を取られてしまい、思考や感情の深堀りができなかった、ということがよくあります。
3.インタビューの目的、課題を常に頭の中にいれておく
インタビュアーは、何のためにこのインタビューを実施し、次に進むために何が必要なのかを常に意識する必要があります。話が脱線することを怖がる必要はありませんが、夢中になって目的を見失ってしまわないようにしましょう。その前提として、インタビューガイドはすべて頭に叩き込んでおいてください。慣れてくればガイドをベースにしつつ、状況に応じて臨機応変に話を展開できるようになります。
ここまで、「顧客理解インタビュー」(実践編)として、以下の3つステップで重要なポイントを具体的に見てきました。
- Step1:仮説を明らかにして、質問を組み立てる
- Step2:インタビューガイドを作成する
- Step3:当日のインタビュアーの心構え
次回「顧客理解インタビュー(分析・意思決定編)」では、インタビュー中のメモの取り方や合意形成のアプローチなどについて解説します。