2.入社2か月目──プロダクトマネージャーチームの立ち上げ
チームを0から作るときにリーダーが取り組むべきことは何でしょうか? 初手の大事なポイントとして「(1)チームのコミュニケーション設計とチームワーク醸成」「(2)チームの役割・キャリア目標の明確化」が考えられます。
(1)チームのコミュニケーション設計とチームワーク醸成
リーダーは前述に加え、特にメンバーとの信頼関係を築くことが不可欠です。リーダーとしての信頼感と、シニアプロダクトマネージャーとしての存在感が求められます。信頼なくして良いチームリーディングはできません。
チームづくりのアプローチは、リーダーのスタイルや会社のカルチャーに左右されます。トップダウン型で指示を明確にする方法もあれば、協調型でメンバーと同じ目線を持って進める方法もあります。
弊社モノグサのようなスタートアップでは、サーバントマネジメント型のリーダーシップが効果的です。サーバントマネジメントとは、次のようなものを指します。
「リーダーはまず従業員のニーズや要望を理解し、そのサポートに全力を尽くすことです。従業員が成長し、意欲を持って働くことが組織全体の成果に繋がるという信念が根底にあります。また、リーダー自身も謙虚であり、他者の意見に耳を傾ける姿勢が重要です」
(出典:「サーバントマネジメント:成果を生むリーダーシップの真髄」/マーケティング・エンゲージメント)
スタートアップでは、統制力を重視するよりも、個々のプロダクトマネージャーが能力を自由に発揮できる環境を整えることが、短期・中期の成果につながりやすいのではないかと思います。
プロダクトマネージャーは通常、プロダクト単位で責任を負い、スタートアップでは1名がプロダクトオーナー(PO)やプロダクトマーケティングマネージャー(PMM)の役割を兼務するケースも多いです。会社や開発組織によっては、プロダクトマネージャーのメンバーは複数人いるが、個々が個人商店のような形で情報連携があまり行われていない、というようなケースも耳にしたりします。
モノグサでは、私と同時期に他の2名が入社し、既存メンバーを含めた5名のプロダクトマネージャーチームが発足しました。各メンバーが異なるプロダクトを担当していますが、共通のミッションを持ち、プロダクト間で一貫した顧客体験を目指すため、チーム内の情報連携を他チーム以上に重視しています。そうすることで、さまざまなプロダクトの状況や課題をチーム内で把握することができ、異なるプロダクトへの効果的な意見やアドバイスを相互に得ることで効率性とチームワーキング・一体化を実現しています。
具体的な取り組みとしては、「週次の1on1」「全員参加の定例会議」「定期的なオフサイトミーティング開催」などを通して、メンバー同士が頻繁に顔を合わせ、意見交換を行っています。これら以外にも、ビジネスサイドやエンジニアとの定例ミーティングなど、プロダクトマネージャー同士が顔を合わせる機会が比較的多いコミュニケーション設計としました。特にオフサイトでは通常業務から離れてテーマに集中し、全員の意見を共有することでチームの一体感が強まります。モノグサではチーム発足直後に初回のオフサイトを実施し、その後も半年に1回の頻度で継続しています。
(2)チームの役割・キャリア目標の明確化
プロダクトマネージャーチームとしての目標設定は重要です。短期的な目標はOKRなどで管理する企業も多いですが、ここでは「中長期的な」「組織としての」チームの役割と目標を定義することが求められます。
各プロダクトには個別の目標が設定されていますが、これに加えて「プロダクトマネージャーチーム」としての共通目標も設けるべきです。会社のミッション実現が最も大きな目標であることは間違いありませんが、それは長期的なビジョンであり、日々のプロダクト開発の積み重ねの先にあるものです。それとは別に、チーム全体としての役割やメンバー個々に期待するキャリアビジョンを「中長期的な視点」で明示することが重要です。これによって、チームの目指す方向が明確になり、メンバー一人ひとりが役割に意欲的に取り組むことで、チーム全体での成果にもつながります。