専門組織はなくとも「ユーザーファーストの文化」が全社的なリサーチ風土を醸成
──御社ではなぜリサーチが深く浸透しているのでしょうか?
会社全体で「顧客体験をよくしたい」という強い想いを持っていることが、その前提にはあると思います。
現在のタイミーにはリサーチ専門の組織はありませんが、皆が自然にリサーチに関わっています。入社直後は私も、エンジニアが当たり前のようにインタビューしているのを見て、驚きました。開発に直接携わらない営業担当なども、クライアントやワーカーへのインタビューに参加しています。
加えて、リサーチに必要な仕組みが社内に整っていることも大きな要因だと思います。ワーカー向けのインタビューなら、自社サービスの「タイミー」を活用して「インタビューのお仕事」の求人募集をすることであっという間に集まります。マッチングしたら最速当日や次の日に聞けるので、そこがリサーチのしやすさにつながっています。
リサーチしやすい仕組みや環境があって、社内に知見も蓄積されているので、インタビュー未経験でもいつの間にか1人でそつなくインタビューできるようになっています。
──後藤さん自身もUXリサーチの専門性をお持ちで、リサーチ環境の改善に力を入れているとお伺いしました。具体的な取り組みや、その効果について教えてください。
私が特に力を入れているのは、インタビュー結果のデータベース整備です。当初は、担当者と日付のみ、目的不明な状態で結果のデータが蓄積されていたので、後から情報を検索することは容易ではありませんでした。
そこで、リサーチの目的と得られた結果を一覧で確認できるようにデータベースを作り直すことで、検索しやすくなりました。「体感で3分の1くらいはデータを探す時間が減った」という声もあったので、とても嬉しかったです。データベースを個人情報を含まない形式で作っていることも、たくさんの社員にデータを活用してもらうことに一役買っています。
データを整備したことで、普段ワーカーとの接点が少ない部署の「ワーカーの解像度を高めたい」というニーズに応えることができました。
また、それ以外にもUXリサーチに関して社内勉強会を開いたり、ワークショップを開催したりもしています。
当社では、プロダクトづくりではデータアナリストと連携をよく行います。最近ではデータアナリストから、「ミクストメソッズ(質的・量的な調査を組み合わせる手法)をやってみませんか?」という誘いがありました。今後はさらに、新たな手法でプロダクト開発に貢献できるようにチャレンジをしたいと思っています。