アトラシアンは、Atlassian Teamwork Labsがオーストラリア、アメリカ、インド、ドイツ、フランスにおける約5000名のナレッジワーカーを対象に実施した、AIの利用に関する調査の結果を11月25日に発表した。
同調査では、調査対象者がAIについてどのように考え、どのように仕事に活用しているかを調査しており、「AIは特定のタスクを遂行するために、必要に応じて利用できるツールである」とするステージ1と、「AIは私の仕事の困難な部分を楽にしてくれる、私専用のアシスタントのようなものである」とするステージ2を「単純なAIユーザー」と定義している。一方、「AIは独自のスキルと洞察力を備えた独創的なパートナーのようなものである」とするステージ3と、「AIは意思決定を強力にサポートしてくれるアドバイザー集団のようなものである」とするステージ4を「戦略的AIコラボレーター」と定義した。
これらの調査結果から、もっとも戦略的なAIコラボレーターは
- AIを活用して、労力に対するROIを2倍にしている
- 毎日105分を節約している(毎週1日分の労働時間に相当)
- 時間を節約した分を新しいスキルの習得に再投資する可能性が1.5倍高い
- 革新的なチームメンバーとして見られる可能性が1.8倍高い
という結果が導出されている。
具体的には、AIが日常的にどれだけの時間を節約しているかを推定してもらったところ、単純なAIユーザー(とりわけステージ1)はAIのおかげで1日あたり53分を節約している一方、もっとも戦略的AIコラボレーターであるステージ4は1日あたり105分もの時間を節約しており、平均的な就業日の20%以上、毎週丸1日分に相当する。また、ステージ4のAIコラボレーターのほぼ全員(94%)が、AIとの協働を学ぶために費やした時間は報われると同意しているのに対し、ステージ1のAIユーザーでは59%に留まっている。
単純なAIユーザーはAIのおかげで1日あたり53分を節約する一方で、その余剰時間を管理業務に費やす傾向がある。一方、戦略的AIコラボレーターは1日あたり105分間の時間を節約し、より深く仕事に取り組む傾向があり、新しいスキルを学び続けて新しいアイデアを生み出す可能性がもっとも高い。
また、「リーダーがAIの実験を奨励している」という意見に同意する人は、そうでない人よりも1日あたり55%も多く時間を節約しており、リーダーのサポートを受けている人は、戦略的AIコラボレーターになる可能性が2.5倍高いことも明らかになっている。さらに、リーダーが実験と学習の文化を育むことで、従業員は戦略的AIコラボレーターになる可能性が高まり、結果としてより大きな時間の節約とより質の高い成果がもたらされる。リーダーのサポートがなければ、従業員は時代遅れのワークフロー(ステージ0〜2)から抜け出せないままとなり、AIが持つ効率性とイノベーションを推進する能力を活用できない可能性がある。
AIコラボレーション文化を育むための実践的なステップとしては、1時間のトレーニングセッションに出席するだけではなく、チームメンバーに「今週は新しいAIエージェントを2つ試してみましょう。これまで私たちが取り組んできたエージェントはこれです」「今週はAIに4つの質問をしてみましょう」といった、グループのメンバーに毎週の課題を設定して、より実践的な学習アプローチを奨励する手法や、チーム全体会議に各自が業務改善にAIを活用している方法を紹介するセグメントを追加し、持ち回り制で実施する、といった手法が挙げられている。
これらの調査結果を受けて、Atlassian Teamwork Labでは以下のような予測を立てた。
- 燃え尽き症候群が25%減少:AIは全般的な時間の節約につながるものの、ステージ4の人々はAIが仕事のモチベーションと興奮を高めることも報告していることから、仕事関連の圧倒的な負担が軽減され、従業員の幸福度の顕著な改善につながると予測する
- AIのROIギャップは2倍になる:戦略的AIコラボレーターは、単純なAIユーザーと比較して2倍のROIを実現しているが、AIとのコラボレーションの新しい方法を試行錯誤しつつ開発を続けることで、2026年までに4倍のROIを実現すると予想する
- 2025年には、優れた人材管理能力を持つ人々は、たとえリーダー的役割を担っていなくても、AIエージェントから75%以上の価値を引き出せるようになる:問題の背景を説明して適切な専門家チームを編成し、仕事を委任するという優れた人材リーダーとなるスキルは、創造的なパートナーや専門アドバイザーチームとしてAIをうまく活用するために必要なスキルでもある
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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