社内での生成AI活用と、今後のAIへの期待
高橋:生成AI の直接的な活用はありますか。
梶原:社内ではChatGPT活用はもちろんしていますし、RAGで社内ドキュメントの検索などに使っています。いろんなところにドキュメントがあるので、まとめるよりはいったん食わせて検索しやすくするといったことはやっています。
高橋:この手の生成AI関連の事業体の中での活用の考えはありますか。
梶原:社内ではChatGPTやRAGでドキュメント検索をしています。また、これはアミューズメント業界あるあるなんですが、JANコードのない景品の情報をどうやってメーカーさんからいただくかというと、メールやポスターに記載されている名前や金額が元になっているのです。こうしたメールやポスターからデータを抽出・正規化するなど、生成AIを活用する余地は大きいです。また、店長のノウハウが属人化している部分をAIで補完できれば、M&Aで加わるさまざまな店舗でもDay1からGiGO並の運用が可能になるかもしれません。
将来的にはAI エージェントとして、店長やスタッフが「次に何をすべきか」を相談できる仕組みを考えています。景品が届いたらどのクレーンゲーム筐体に並べるか、入口か奥かなどの余白を過去の売上・人流分析から提案できる世界を想定しています。
高橋:弊社が担当している他社プロジェクトでも企画属人化が課題なところがあります。面白い企画ができる人に依存する状態を、AIでフォローするニーズはありそうですね。
松沼:マーケ観点だと、新業態や店舗コンセプトをどう練るか、どんな企画がこの立地・ターゲットに刺さるかもAIでアイデアだしに活用しています。インタビュースクリプトやアンケート結果集計などもすでに活用済みで、企画精度を高めるために使っています。
梶原:フード系では、実店舗ポスターや新商品パッケージのクリエイティブも生成AIで一気に案だしをして絞り込むこともやっています。
さらなる未来に向けて
高橋:今後の展望、さらなる活用計画はありますか。
梶原:AIエージェントがゲームセンターやカラオケ特化で登場する未来はありえるかなと思っています。オペレーションリーダーがスタッフに出す定型指示を機械化できれば、スタッフは「次に何をすればいいか」をAIに尋ねられる。その結果、負荷が減り、お客様対応に専念できる環境を作れると考えています。
DXでフロアに出られない現場課題を解消し、お客様満足度を高める。そのための一歩がAI エージェント化になり得ます。
松沼:DXの観点では、AIカメラ活用で人流やレイアウト導線最適化など、活用できる余地が多々あります。IP予測も、なぜ即完売するほど人気なのかを説明できれば、エンタメ企業としてさらに強くなれるはずです。
世界一を目指すうえで、逃げずに踏み込むべき領域だと思っています。
DX/AI活用推進における重要なこと
高橋:他社がAI/DXを進める際のアドバイスはありますか。
梶原:小さく始めること、顧客や現場を正しく理解することが大事です。机上論でなく実店舗にDeep Diveすることで、導入や支援につながりました。
松沼:3点あります。1点目は、M&Aを強みにしている当社は新しいシステムがどんどん入ってくるので、大きく作るより小さく始めて最大公約数を探るアプローチが合っています。
2点目は、店舗ビジネスの強みを活かすため、接客など人間しか出せない価値を重視すること。邪魔する作業は機械化、省力化すべきです。
3つ目は、システム導入がゴールではなく、OpsにDeepDiveしてひずみや不文律をほどくことです。ツールやシステムありきでなく、オペレーションエクセレンス視点で改善することで大きなインパクトが生まれると考えています。
高橋:お二方、本日はどうもありがとうございました!