TERUSの活用シーンを考える
では、実際にTERUSで何ができるのか。その効果をイメージしやすいようにと、瀬在氏はデモを通じて二つの仮想事例を紹介した。

一つ目は、あるホテルに対する7年間分のSNS投稿データから宿泊体験を分析した仮想事例だ。投稿データは、約580件。これに対してAIによる精査を実施した結果、約5100件の具体的な意見が抽出された。つまりは、一つの投稿から平均して10件の意見が得られたことになる。
デモでは、これらの意見をポジティブとネガティブに分類し、具体的な要素に基づき統計表を作成した。「これまでは、投稿内容から宿泊客の感想を推測するしかなかったが、TERUSを活用することで、スタッフの態度、部屋の広さ、朝食の評価、温泉の質といった要素ごとに具体的な意見数を知ることができる」(瀬在氏)。
さらに、特定の意見をクリックすれば詳細なローデータを確認できることも示した。例えば、「スタッフの対応が悪い」という意見の中には「英語が話せないスタッフが多い」といった具体的な意見があり、投稿元のTripAdvisorから外国人観光客であることが判明。どの国の宿泊客がどのような目的で宿泊したのかも把握できることから、最終的にはインバウンド対応を強化するといった具体策の立案にもつながることが期待できる。
二つ目のデモは、あるスマートフォン向けゲームアプリに関する投稿を分析したものを取り上げた。ここでは、瀬在氏は投稿データを時系列でグラフ化する機能のメリットにフォーカスしてデモを行った。
そのゲームアプリの意見を精査したところ、「バグが多い」という不満の声が多数寄せられていることが分かった。そこで、瀬在氏はこれら意見を時系列グラフに直して表示。その結果、特定期間にバグに関する意見が急増したものの、その後は急速に減少していることが分かった。瀬在氏はこのデータを見て、「開発チームがバグ報告を見逃さず、迅速に修正を行ったことで、問題がすぐに解決したのだろう」と分析した。
「弊社もそうだが、製品やサービスの開発フェーズであれば品質管理をうまく回せるが、製品リリース後となると、なかなか難しい。TERUSは、ユーザー体験という抽象的なデータを分かりやすい、具体的な意見へと落とし込み、可視化することで、改善点を把握して能動的な対応につなげる手伝いができる」(瀬在氏)
ユーザーと企業の建設的な循環システム
ベリサーブはTERUSの新たな展開として、製品品質を上げるために顧客から声を吸い上げ、フィードバックサイクルをより効率的に回していく仕組みの開発を視野に入れている。
瀬在氏は、「互いの意見を交わすことで製品やサービスをより良いものに変え、最終的にはより良い社会を作るための建設的な循環システムの一助になりたい」と語る。企業とユーザーが相互に意見を交わすことで、新たな価値創出の機会が生まれ、これまで以上に質の高い製品やサービスが生み出される環境が整うと同氏は期待する。

瀬在氏は「この企業のこの製品が大好きだから、良い意見も悪い意見も伝えたい」とユーザーに思わせることが、これからの時代を生き残る企業の条件だと強調する。ユーザーの声を大切にし、積極的にフィードバックを取り入れる企業こそが競争を勝ち抜いていくことになる。
TERUSはまだリリースされたばかりで、「これからもできることはまだまだある」と言う瀬在氏。今後も、ユーザーと企業のより良い循環を構築することを目指し、TERUSの進化と共に新たな取り組みを推進していくと述べた。