SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第4回。オフラインとしては2回目の開催です。

ProductZine Day 2025

ProductZine Day 2025

チームの力を最大限に引き出す「チームワークマネジメント」By ヌーラボ

図は共通言語になる──自律的なチームを育てる、プロダクト開発のための「描く」力

チームの力を最大限に引き出す「チームワークマネジメント」By ヌーラボ 第3回

 労働人口の減少や副業・業務委託の広がりにより、多様な人材による即席チームが当たり前になりつつある。ヌーラボの原田泰裕氏が提唱する「チームワークマネジメント」は、こうした時代に成果を最大化するための実践知だ。今回は、そのチーム強化に欠かせない要素である「図を使ったコミュニケーション」に注目する。図は単なる資料ではなく、認識のズレを埋め、言語化しきれない情報を可視化する「共通言語」として機能する──ヌーラボのオンライン作図ツール「Cacoo」の提案を通じて現場に寄り添ってきた、渡部一之氏に話を聞いた。

なぜ今「図」が必要なのか──認識ギャップを埋めるコミュニケーション手段

 ヌーラボが提唱する「チームワークマネジメント」は、メンバー一人ひとりがリーダーシップを発揮しながら、チームとして最大の成果を上げることを目指すアプローチである。必要な要素として挙げられているのが、「目標の共有」「役割の明確化」「分散型リーダーシップ」「コミュニケーションの設計」「心理的安全性の確保」の5つだ。これらは原田氏への取材記事で詳しく紹介した。

 今回焦点を当てるのは、これら5つの要素を支える「共通言語」としての「図」の力である。特にプロダクト開発の現場では、図を有効活用することが、これらの要素を満たすための重要な鍵となる。

 プロダクト開発に関わるチームは、エンジニア、デザイナー、ビジネスサイドなど多様な職能で構成されている。加えて、リモートワークや副業・業務委託の普及により、初めて顔を合わせるメンバーが短期間で成果を出さなければならない場面も増えている。こうしたチームに共通するのは、「誰がどの情報を、どの前提で持っているか」が一致しにくいという課題だ。

 渡部氏は「『話が通じない』原因の多くは、言葉以前に『何を前提にしているか』が共有されていないことです」と指摘する。業務上のやりとりは、文章や口頭だけで進めると、意図や背景が抜け落ちてしまうことが多い。そこに図を用いることで、情報の構造や関係を視覚的に共有できるようになる。

ヌーラボ ビジネスグロース部 セールス課 渡部一之氏
ヌーラボ ビジネスグロース部 セールス課 渡部一之氏

 かつては会議室のホワイトボードを囲んで議論するのが一般的だったが、現在は場所も組織も異なる多様な人材が関与するのが当たり前となり、図の共有そのものが難しくなっている。そこで活用されているのが、ビデオ会議上の画面共有だ。特にリモートワーク下では、「同じ画面を見ながら話す」だけで認識が大きくそろう場面が多い。図があることで、どこに課題があるのか、どこが未定義なのかといった点が可視化され、意見の出しやすさや理解度の深まりにつながっている。これは単なる業務効率の話ではなく、「コミュニケーションの設計」や「心理的安全性の確保」にもつながる要素だ。

 一方で、ホワイトボードの画面をカメラで写しながら会議を進めると、視認性や双方向性に乏しいという課題もあった。そこで近年では、オンライン作図ツールを使ってリアルタイムに図を共有・編集するスタイルが広がりつつある。「オンライン作図ツールの機能を用いて、自分の意見を伝えやすくなる──そんな人は少なくありません」と渡部氏は語る。図は、意見を持ちづらい・出しづらいメンバーが「巻き込まれる側」から「巻き込む側」に回るきっかけにもなるのだ。

次のページ
どんな図が活きるのか──構造を整理し、言語化できない認識を可視化する

この記事は参考になりましたか?

チームの力を最大限に引き出す「チームワークマネジメント」By ヌーラボ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

ProductZine(プロダクトジン)
https://productzine.jp/article/detail/3352 2025/04/14 11:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング