「豊富なリソースを活かすも殺すも自分次第」の覚悟が持てるか?

当社が開催している「クライス汐留アカデミー」では、各分野で活躍されているプロフェッショナルな方々を講師としてお招きしていますが、先日は、まさにこのテーマで議論が行われました。
プロダクト開発の経験があまりなく、組織体制や環境が十分整備されているとはいえない大企業では、周囲の人を巻き込んでプロダクトマネジメントの考え方を組織に浸透させたり、「もっとこういう人材を採用しなければいけない」と働きかけて組織づくりを推進したりする必要があります。プロダクトマネジメントとは別の巻き込み力や事業を立ち上げる力が必要になるのではないか、というのがその骨子です。
「大手企業に転職すれば豊富なリソースを使って大きな仕事ができる」と単純に考えている人もいますが、リソースはあっても正しく活用されていない、あるいは活用する仕組みや組織カルチャーがないケースも多々あります。「この会社のリソースを活かすも殺すも自分次第」というマインドセットで乗り込んでいけるかどうか。つまり、まだ何もないところから新しい組織やカルチャーを作っていく、ある意味では起業家精神のようなマインドセットが必要である、ということです。
いろいろな候補者の方とお話をしているとそうしたマインドセットを持っている人と、なんとなく「大手に行けば安定しているだろう」と考えている人がいますが、入社後のパフォーマンスはまったく異なってくると思います。
もちろん、大企業ならではの経営や給与の安定といったメリットはありますが、採用する企業側の視点に立つと、欲しいのは各所といろいろな調整をしながらプロダクトマネジメントを推進し、新しい風を吹き込んでより良い方向に組織を変えてくれるような人材です。そうした気概の有無はとても大切になると思います。
企業が最終ユーザーとの接点を自ら持って、直接アプローチして自社の商品・サービスに愛着を持ってもらったり、ユーザーのデータを取得してビジネスに役立てたりするためにプロダクトを作る動きは不可逆であり、大企業がプロダクトマネージャーを採用するトレンドはますます強くなっていくと思います。
プロダクト開発に取り組みたい人は、テック系ベンチャーしか選択肢がない時代がしばらく続きました。しかし、これからはIT系ではない大手企業でもやれるかもしれない、むしろ大手のほうが面白いことができるのではないか、というプロダクトマネージャーのキャリアの選択肢が生まれています。ただし、前述したようにテック系スタートアップとは仕事の進め方が大きく異なるので、自分が向いているかどうか、大企業のプロダクトマネージャーとしてやっていけるマインドセットはあるかどうかをよく考えておく必要があるでしょう。