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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第4回。オフラインとしては2回目の開催です。

ProductZine Day 2025

ProductZine Day 2025

1人目プロダクトマネージャーの教科書 ~成長の立役者になるには~

1人目PMがチームで成果を出すために

1人目プロダクトマネージャーの教科書 ~成長の立役者になるには~ 第4回

4.4 仲間を増やすことで初速を上げる

 PMは「一匹狼」で成果を出す職種ではありません。むしろ、仲間の数だけ推進力が高まる「ネットワーク型職種」です。そのためには、「未来の仕事につながる関係性」を育てることが非常に重要です。

 例えば、

  • 飲み会や雑談の場に顔を出す
  • オフィスに出社してランチを一緒にする
  • 雑談チャンネルにコメントを残す
  • 定例の冒頭にアイスブレイクを仕込む

 これらはすべて「信頼貯金」を積む行為です。こうした「顔を見せること」の積み重ねが、チームとの距離を縮め、協働を円滑にするのです。特にスタートアップでは「誰が何をやるべきか?」が流動的になりがちなので、関係性を築くことで仕事をスムーズに進められるようになります。

4.5 仕組み化に着手し、全体最適を図る

 小さな成果の積み重ねと関係構築が進んだら、次に取り組むべきは「仕組み化」です。PMは一時的な便利屋ではなく、持続的にチームがうまく機能する構造を作ることが求められます

 ここで活きてくるのが、プロジェクトマネジメントの知見です。裏を返すと、1人目PMにはプロジェクトマネジメントのスキルは必須です。現在のプロダクト開発では、スクラムチームを含めた開発チームを円滑に推進するスキルはPMのレベル1のスキルと言って良いでしょう。

 ここまでのステップで、すでにチームの現状や課題は把握できているはずなので、よりスムーズに機能する仕組みを提案し、実行するフェーズに移ることができるはずです。

  • 開発プロセスの最適化(タスク管理、仕様決定フローの改善)
  • コミュニケーションの仕組み化(定例ミーティング、ドキュメントの整備)
  • 意思決定の透明性を高める(KPIの可視化、優先順位の整理)

 この段階に入ると、ようやく「PMがいるからチームは機能し、高いパフォーマンスを保てている」という事業成果へ貢献している実態が可視化されてきます。ここで初めて小さな成果を実感できるでしょう。

 また、この仕組み化によって、「1人目PMがその場にいなくても回る状態」 を作れれば、次の本質的な課題に取り組む準備が整うわけです。

4.6 意思決定者としての地位を確立する

 信頼と仕組みの積み上げを通じて、ようやく「PMの発言に耳を傾け、共に思考する」「チームがPMの判断に納得感を持てる」フェーズに入ります。ここで初めて、PMは「本質的な意思決定を担う存在」になれます。

 PMの強みは、「全体を俯瞰し、目指すべき方向に向けて意思決定できる」ことにあります。これがないとPMとしての存在意義はないに等しいわけです。しかし、その判断をチームが受け入れるかどうかは、その前段の信頼構築にかかっているのです。

まとめ:信頼の積み重ねが、意思決定の正当性を作る

 1人目PMがチームと協働し、推進力を得るまでには段階があります。

  1. 理解を深める
    • まずはチームを理解することに全力を尽くす
  2. 小さな成果を出す
    • 日常業務の中にある不便を見つけ、改善する
  3. 仲間を増やす
    • 人間関係を築き、「応援されるPM」になる
  4. 仕組み化する
    • 再現性のあるプロセスを構築し、持続可能性を作る
  5. 意思決定の主体になる
    • 信頼の上に、判断と方向性を任されるようになる

 1人目PMは、最初から「リーダー」として振る舞う暴君としてのたたずまいではなく、信頼される存在として役割を確立していくものです。

 次回は、PMがいないと回らない状態から脱し、再現性ある仕組みによって「チームとプロダクトをスケールさせる方法」へと進みます。「個人の力」ではなく「構造の力」で成長を促すフェーズに、1人目PMはどう備えるべきかがテーマです。

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この記事の著者

蜂須賀 大貴(ハチスカ ヒロキ)

Newbee株式会社 代表 / プロダクトマネージャー IMAGICA Lab.でエンジニアとしてキャリアを開始後、複数企業でプロダクトマネジメントおよび開発組織の立ち上げに従事。サイカではHead of Productとしてプロダクト戦略をリードし、事業成長に貢献。PIVOTではプロダクトマ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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