具体化し、優先順位をつける
お客さまの要望を聞き、その証拠をアイデアに結びつけます。次に、提供内容を具体化し、優先順位をつけるプロセスに進みます。アトラシアンでは、以下のプロセスを用いて、情報を収集し、優先順位を付けて、ロードマップを作成しています。

収集
まず、論理的であろうと、非常にクリエイティブであろうと、プロダクトを実現するためのアイデアをすべてリストアップします(ロングリスト)。この段階では、間違った答えはありません。アトラシアンでは、非同期のリアルタイムコラボレーションが可能なConfluence(ナレッジ共有ツール)のホワイトボードを、この作業に使用しています。準備ができたら、付箋をJira Product Discoveryのプロジェクト、またはConfluenceのページに転送します。

優先順位を付ける
ロングリストから実現不可能、または単に非現実的なアイデアを削除し、リストを絞り込む段階です。この新しいリストが「ミディアムリスト」となり、ここで優先順位を付け、チームと議論してどこから始めるかを決定します。会社の状況に応じて、その時点で最適化すべきポイントを明確にする必要があります。
アトラシアンでは、Jira Product Discoveryを使用してミディアムリストをフィルタリングし、その結果を最初のビジネス目標とその「賭け」に関連付けます。Jira Product Discoveryでは、アイデアをセグメントごとにグループ化し、洞察と相互参照して、取り組んでいるセグメントに対する顧客の需要の影響を評価できます。
Jira Product Discoveryを使用し、お客さま対応チームとの明確なコミュニケーションを維持することで、アイデアをフィルタリング、ランク付け、絞り込み、中程度と影響度の高いアイデアを区別しやすくなります。プロダクトマネージャーは、プロダクトの成約だけでなく、お客さま対応チームと継続的に連携し、パートナーシップを維持して、彼らの率直なフィードバックを常に把握しておくことが重要です。

アトラシアンでは、Jira Product Discoveryを使用して、営業担当者とエンジニアにそれぞれ特定のプロジェクトビューを用意しています。これにより、各担当者が述べた意見が別々にリスト化されるため、ビューが雑然となることがありません。さらに重要なことは、Jira Product Discoveryの投票機能を使用してアイデアを管理できることです。

これにより、エンジニアリングなどのチームは、実行段階になって初めて関与するのではなく、最初からプロジェクトに関与し続けられます。早い段階でエンジニアと実現可能性を評価することで、適切なものを確実に構築できます。

インパクトと労力を比較検討する
ここで、優先順位付けに関する最も難しい議論が始まります。この議論によって、最終的に正しいものを構築できるかどうかが決まります。
アトラシアンでは、この問題に対処するために、「インパクト対労力」というビューを用意しています。これは、X軸に「インパクトの大小」、Y軸に「労力の大小」をプロットしたマトリックスです。

これにより、インパクトが高く労力の低いアイデアはマトリックスの右上部に位置します。これらのアイデアは「考えるまでもないこと(no-brainer)」や「簡単にできること(low-hanging fruits)」と呼ばれ、最優先で取り組むべきものです。
マトリックスの右下には、インパクトが高く労力も高いアイデアが位置し、私たちはこれを「フォースマルチプライヤー(force multiplier : 限られた資源でより大きな効果や影響を生み出すもの)」と呼んでいます。これらの機能やアイデアはビジネスに大きな影響を与える可能性がありますが、実現は困難です。
しかし、影響度が中程度の取り組みを過小評価してはなりません。これらの取り組みを達成することで、使いやすさが向上し、お客さまとの関係も改善されます。アトラシアンでは、これらの取り組みを「喜び」と呼んでいます。これらは、ビジネスの様相を一変させるようなものではありませんが、何か特別な魅力をもたらすものです。
もちろん、影響の低いアイデアは避けるべきですが、中程度の影響力を持つアイデアと大きな影響力を持つアイデアのバランスを取ることが成功の鍵となります。アトラシアンでは、チームのリソースを無駄に消費することなく、お客さまのニーズに一貫して対応できるよう、達成が容易で戦略的な中程度の影響力を持つアイデアを四半期ごとに確認し、対応しています。