LT4:「その“無理かも”は、もう諦めなくていい──生成AIがつなぐクリエイティブと開発の距離」
- 発表者:矢部椋氏(REALITY株式会社 プロダクトマネージャー)

プロダクトマネージャーの「工数感覚」の変化
バーチャルライブ配信アプリ「REALITY」のPMを務める矢部氏は、10年のPM経験で培った「なんとなくの工数イメージ」が生成AIの活用により大きく変化したことを語りました。
アバターアイテムのフリーマーケット機能の開発において、約4000種類のアイテムをユーザーに販売するため、過去7年分の企画書をAIに投入し、フレーズの自動生成に挑戦しました。
生成AI活用の理想と現実

1.容量制限の壁
過去7年分の企画書をAIに投入しようとしたところ、容量制限でエラーが発生。大量のデータを一度に処理することの難しさを実感しました。
2.品質の問題
容量制限を回避しても、今度は日本語の不自然さやサービストーンとの不一致が問題に。AIが生成したテキストが、世界観に合わない内容になってしまいました。
3.データの不完全性
さらに、2019年の企画書が存在しない、担当者の誤字が多すぎるなど、データの品質問題も露呈。AIに学習させる基盤データ自体に課題があることが判明しました。
結局、生成AIの活用は部分的にしか成功せず、最終的にはデザイナー・エンジニアがマニュアルでの修正を迫られました。
生成AI活用において変わらず追求すべきポイント
生成AI活用の試行錯誤の中で、開発アウトプットと工数の感覚の変化が生じている。プロダクトマネージャーとしては、従来の「要件定義→仕様検討→調査」という作業から、より本質的な「これがちゃんと正しい状態なんだろうか?」という問いに時間を費やすように変化しました。
- 従来:要件定義・仕様検討・調査に数時間
- 現在:ユーザーゴールの一言コピーに1〜2時間悩む

総括:生成AIにより実現可能性は広がるが、本質は変わらない
矢部氏は「その無理かもはもう諦めなくていい。でもそのユーザーのゴールは諦めないことが大事」と語りました。
生成AIにより実現可能性が大幅に広がる中で、プロダクトの本質的な価値提供を見失わないことが重要であることを示しました。技術的な制約は緩和されても、ユーザーが本当に求めている価値を提供するという使命は変わらないのです。
