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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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新規プロダクト開発における陥りやすい罠とその善後策

組織診断の偏差値が46から80に、「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」

新規プロダクト開発における陥りやすい罠とその善後策 第4回

 この連載では、Goodpatchの自社プロダクトを手がけるプロダクトチームが、開発現場で起こる「あるあるの失敗談」を対談形式でお話ししながら、新規プロダクト開発における陥りやすい罠とその善後策をお届けします。第4回は、チームの信頼や愛着を可視化した指標が、2019年から2021年にかけて46から80まで向上し、チームとしてもプロダクトを通して世の中に価値を届けられるようになったと実感するに至った背景を振り返っていただきました。(編集部)

チーム全員が同じ目線でプロダクトを作り続けられるようになるまで

この連載では、開発現場で起こる、あるあるの失敗談を対談形式でお話ししながら、新規プロダクト開発における陥りやすい罠とその善後策をお届けします。現在のStrapプロダクトマネージャー大竹が聞き手となり、当時の様子や想いについて、エンジニアリングマネージャーの西山が語ります。

 第1回は、メンバーの大量離職など過酷な状況に陥った過程と、コラボレーションの重要性に気づくまで。第2回では、信頼が失われた中で開発を進める苦悩や、失敗からチームで取り組んだこと。第3回では、Strapを飛躍させた全社からの協力についてをお届けしました。

 第4回の今回は、コロナ禍での社内外のStrapに対しての変化や、チームのエンゲージメントスコア(組織診断の偏差値)が上昇するまでをお届けします。

エンゲージメントスコア

 エンゲージメントスコア(組織診断の偏差値)とは、リンクアンドモチベーション社のモチベーションクラウドのサーベイ結果を基に判定される組織コンディションの定量指標です。参考:株式会社グッドパッチの例

未来への信念と愚直な準備に、天が味方する

大竹:Strapはさまざまな苦難を乗り越え、社内でのコラボレーションを生み出すことで正式リリースまで辿り着いたんですよね。もう一度簡単にリリースまでの道のりを聞かせてもらえますか。

西山:まず、2019年にα版を、2020年2月にクローズドβ版を社内でリリースしました。2019~2020年は苦しい時期でしたが、クローズドβ版をもって正式リリースの土台となるプロダクトが完成しました。

 そして2020年4月にパブリックβ版を申し込みいただいた方へ限定公開し、2020年9月に正式版をリリースしました。Prott v2での失敗を経て、Strapではα版から本番環境を構築していたことがスムーズなリリースに繋がったのだと思います。

大竹:ちょうど新型コロナウイルス感染症が拡大した時期と重なりますが、影響はありましたか?

西山:コロナ禍によりリモートワークが普及したことで、目指していた世界が想定以上に前倒しになりました。Strapはもともと、場所に縛られない“DXのプラットフォーム”として構想しており、当時はもう少し先の社会で必要性が見えるプロダクトだと考えていました。

 しかしコロナ禍で、あらゆる企業が「リモートコラボレーションのあり方」を組織課題として問うようになりました。当時はここまで新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するとは予想していなかったものの、短期的にでもStrapが組織の課題を解決する足掛かりとなれるのではないかと考えたのです。

大竹:確かにコロナ禍前の社会において、Strapの必要性は感じにくかったかもしれないですね。社内でも、第3回で話されていた他部署からの応援があった一方で、ビジネスとして成立するのか疑問の声もあったとか。

西山:「誰が使用するのか」「市場が小さいのではないか」という声は少なからずありました。Strapのようなオンラインホワイトボードツールは、デジタルツールに慣れ親しんでいる職種や業界で活用されていましたが、企画や営業などの「ビジネス職」が業務の中で日常的に使用するツールにはなり得ないのでは、と考えられていたのです。

 それでも僕たちは、実際に触りながら開発を進める中で「職種に捉われず誰もがStrapを使用する未来」に確信を持っていました。一部の社内メンバーにその未来が伝わっていないことへのもどかしさはあったものの、実際に業務の中で使用すれば必ず価値を感じてもらえるはずだと信じていました。

 このような強い信念を持ち愚直に開発を進めていたところに、急速な社会の変化を追い風としてStrapの必要性が認識されていったのです。

大竹:Strapがコロナ禍でどのような価値を発揮したことがきっかけで、社内の声は変化していったのでしょうか。

西山:オンラインワークショップの開催を通じて価値を実感する機会が広がっていきました。社内でリモートワークが推進されるにつれ、以前はオフラインでワークショップを開催していたセールスチームなどから「Strapを使用してオンラインワークショップを開催できないか」という相談を受けたのです。

 ワークショップで複数人が共同作業するというユースケースは、非常にStrapの目指す世界観に近いものがありました。そこでまず、Strapをオンラインワークショップにフィットする形で提供し、足りない機能を改善しながら開発を進めました。

 このようにワークショップを通じて、多くの社内メンバーがStrapを実際に使用する機会を提供できたことにより、Strapの価値や必要性が浸透していったのです。

大竹:2019~2020年の苦しい状況が、Strapの未来への信念と愚直な準備、そして新型コロナウイルス感染症という大きな社会変化によって一変したんですね。

次のページ
エンゲージメントスコアが46→80に。組織設計で実施したこと

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この記事の著者

大竹 智史(株式会社グッドパッチ)(オオタケ サトシ)

株式会社グッドパッチ Product div. プロダクトマネージャー。 2017年にグッドパッチに入社。デザインパートナー事業にて、BtoB SaaSのグロース、BtoCマーケットプレイスのプロダクトの立ち上げ、大手製造業の商品企画(エスノグラフィ調査/コンセプト立案)を担当。2018年グッドデ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

西山 雄也(株式会社グッドパッチ)(ニシヤマ ユウヤ)

株式会社グッドパッチ Product div. エンジニアリングマネージャー。 慶應義塾大学環境情報学部卒業後、インターネット普及期からスタートアップを中心にWebアプリケーション開発に従事。フリーランスのフロントエンドエンジニアとして新規事業に参加したことをきっかけに、2017年にグッドパッチに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://productzine.jp/article/detail/922 2022/04/28 14:00

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