大日本印刷(DNP)は、システムやアプリケーションの開発に用いる「アジャイル開発」の手法の一つ、スクラム開発を体験できるボードゲームの試作品を開発した。
「アジャイル開発」とは、小さな仮説から検証を進め、立証した事実を積み重ねることで、無駄を少なく技術や製品・サービスを成長させていく手法。その一種に、スポーツのラグビーのようにチームメンバー同士がタスク(業務課題)を分担し、それぞれの成果を持ち寄って開発を進めていく「スクラム開発」という手法がある。
今回、エンジニア以外にも教育の幅を広げ、実務につなげることを目的として、アジャイル開発の初心者がゲーム感覚で楽しみながらスクラム開発のポイントを体感できるボードゲーム「スクラムが体験できるボードゲーム~目指せスクラムマスター~」を試験的に開発し、5月に社内教育での活用を開始した。アジャイル開発ボードゲームのおもな特長は以下の通り。
- スクラム開発でよく使われる用語(スクラムマスター、スプリント、バックログなど)を使用することで、意識しなくても各用語への理解が深まる。
- アジャイル開発/スクラム開発では、最終目的の達成に向けて、できるだけ早く小さい成果物を積み重ねることが必要。ゲームを通じてそのプロセスを経験することで、アジャイル開発/スクラム開発の本質の理解につながる。
- スクラム開発の阻害要因(開発者の体調不良などによる人材確保や体制構築の困難さなど)が、ゲーム中にランダムに発生するようにしているため、現実でも起こりえるリスクを学ぶことが可能。
- ゲームのプレイ回数を重ねることで効率的にスクラム開発のプロセスを回せるようになり、自然と上級者として必要なスキルやマインドセットを得ることができる。
同社では、生活者にいち早く新しい価値を届けるため、これまでも多くの企業などのソフトウエア開発のほか、自社で提供しているDNPソーシャルアクションサービス「May ii(メイアイ)」やDNPアスリート支援プラットフォーム「CHEER-FULL STADIUM チアスタ!」などでアジャイル開発の手法を取り入れてきた。また、2022年5月よりシステム開発に携わる社員に「スクラム開発」の教育を行い、2022年4月までに200名を超えるScrum Alliance認定資格者を育成している。
今後同社は、社外向けワークショップの実施やイベントへの出展などで利用者のフィードバックを得ながら、スクラム開発の教材やアジャイル開発のコンサルティングメニューとしてのサービス提供を目指すほか、オンライン対応や簡略版など、多くの利用者に気軽にプレイしてもらえるようなゲームを開発していく。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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