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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

ProductZine Dayの第3回。オフラインとしては初開催です。

ProductZine Day 2024 Summer

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ProductZineイベントレポート

開発メンバーの「違い」がプロダクトの強みになる? クレディセゾン小野氏が語る、協創のプロダクト作り


 アプレッソではデータ連携ソフト「DataSpider」、セゾン情報システムズではファイル転送ツール「HULFT(ハルフト)」、クレディセゾンでは「セゾンのお月玉」など、さまざまなプロダクト作りに携わってきた小野和俊氏。いずれのプロダクトも世の中に新しい価値を提供し、本当に喜んでもらえるものを目指し、多様な価値観、異なるスキルを持つチームや人材を生かしたからこそ、生まれたプロダクトだという。多様な価値観や異なるスキルを持つ人が協調することが、なぜプロダクトの価値につながったのか。その一方で、多様な価値観を持つチームや人材をマネジメントするのは難しい。それをどうやってマネジメントしたのか。10月14日に開催されたProductZine主催のウェビナー「『協創』時代のプロダクトマネジメント」ではその方法論が紹介された。

小野和俊氏がクレディセゾンに参画した理由

 「プロダクトマネジメントの一般論ではなく、メンバーの特性によってプロダクトが持つ特性や強みが変わってくる。どういう風にプロダクトを変えてきたのかを伝えると共に、そこでどんな気づきがあったのか。紹介していきたい」

 冒頭でこう語り、小野氏のプレゼンテーションは始まった。1999年、新卒でサン・マイクロシステムズに入社。同社を就職先に選んだ理由は、「日本の5年先を進んでいると言われていたシリコンバレーで仕事をしたいと思っていた。それが最も早く実現できそうだと思った」と語る。その言葉通り、半年間の研修後、米国本社にて4カ月間、開発の経験をしたという。

株式会社クレディセゾン 常務執行役員 CTO デジタルイノベーション事業部長 小野和俊氏
株式会社クレディセゾン 常務執行役員 CTO デジタルイノベーション事業部長 小野和俊氏

 その後、アプレッソを立ち上げることになるわけだが「当時は起業するなんて思っていなかった」と小野氏。技術者としてエンジニアリングを磨いていきたいと考えていたが、あるエンジェル投資家から10億円出すというオファーを受け、アプレッソを立ち上げることになった。そこで開発したのがデータ連携ツール「DataSpider」である。

 だが「2013年に大きな転機が訪れた」と小野氏は話を続ける。DataSpiderの販売代理店でもあったセゾン情報システムズから資本業務提携の提案を受けたのだ。その当時、アプレッソは経営的にもうまくいっていたが、同社が持つファイル転送ツール『HULFT』と組めば、これまで届いていなかった顧客にも届くと考え、資本業務提携に合意したという。以降、アプレッソの代表を務めながら、セゾン情報システムズでHULFTのCTOも務めることになった。

 そして、セゾン情報システムズを従来の安定性重視の領域はもちろん、SoE領域のようなデジタルテクノロジーにも強い「バイモーダルインテグレータ」にするというコンセプトを掲げて、改革にも取り組んできた小野氏。19年にクレディセゾングループの本体であるクレディセゾンに取締役CTOとして参画し20年より常務CTOに就任。クレディセゾン全体のデジタルトランスフォーメーションを推進している。

バイモーダルで「HULFT」をさらに成長

 小野氏はアプレッソでの「DataSpider」、経済産業省による未踏ソフトウェア創造事業での「Galapagos」、セゾン情報システムズの「HULFT」、クレディセゾンの「セゾンのお月玉」などさまざまなプロダクト開発に携わってきた。

 「プロダクトの企画開発において、プロダクトマネジャーがすごく優秀で、開発チームの性質に関わらず良いプロダクトを作れる、というケースも確かにある。だが、僕が携わったプロダクトは、チームのメンバー一人ひとりが多様であることがプロダクトの強みとなった。つまりこのチームでなければこのプロダクトは正解ではないというプロダクトの設計の仕方が大事だと思っている」(小野氏)

 その事例としてまず上げたのが「HULFT」。HULFTは小野氏がセゾン情報システムズに参画する前からあったプロダクトである。小野氏が同社への参画が決まった際、知人の間で「いつ辞めるのか」という賭けが始まったほど、周囲はベンチャー気質の小野氏が同社の日本の伝統的な文化を持つセゾン情報システムズに合わないと思っていた。小野氏自身も「最初の半年は合わないと感じた面があった」と吐露する。だが半年過ぎる頃から「伝統のやり方があるからこそ生まれる強みがある」ことに気づき始めたという。「そこからはやりにくいどころか、むしろこれを強みとして生かそうという考え方に変わった」と明かす。

 IT調査会社ガートナーでは、これからの企業ITはモード1(守りのIT、安定性重視)とモード2(攻めのIT、スピード重視)を共存、連携させる「バイモーダル」という考えを提唱しているが、この考えに通ずるという。

 小野氏が参画する以前、HULFTのイメージはメインフレームやUNIXのための連携ソフトだったという。このイメージのままだとHULFTの将来は明るいとは言えない。そこでバイモーダルな特徴を持つ製品に変えたのだ。

 つまり従来のHULFTが持つ安定的な強み(モード1)に、アプレッソのスピード感や新しい技術に長けているという強み(モード2)を組み合わせる戦略を採用。HULFTはクラウド対応を訴求したことで、オンプレミス同士はもちろん、オンプレミスとクラウド間、クラウド同士の間でも確実にデータ転送が可能なツールに生まれ変わり、15年には米ラスベガスで開催されたAWSのイベント「AWS re:Invent 2015」で「Think Big賞」を受賞。

 「これにより、さらに需要が伸びていった。このような強いプロダクトが生まれたのは、今までの良を生かしつつ、クラウドに対応したから。バイモーダル的な要素を強みとしてプロダクトに適用した成功事例と言える」(小野氏)

 だが、簡単に実現したわけではないという。バイモーダルで起こりがちな衝突を乗り越えていくために大事にしたのが、「HRT(ハート)の原則」だという。これはGoogle社で実践されているという原則で、Hが謙虚(Humility)、Rが尊敬・敬意(Respect)、Tが信頼(Trust)を意味する。「HRTの原則は和の文化に近いものがある」と小野氏。バイモーダルや協創の際にこの原則が守られていれば、両極端な人たちであっても協調がうまくいくという。

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「セゾンのお月玉」成功の裏には多様な人材

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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