クアルトリクスは、「2024年消費者トレンドレポート」を発表した。「Qualtrics XM Institute(XMI)」の調査によれば、国内の組織は、悪い体験が原因で年間7.6兆円もの機会を失うおそれがあると計算した。世界全体では悪い体験のために企業は555兆円をリスクにさらしており、この数字は12カ月前より約90兆円上昇している。
国内の1200人の回答者によれば、国内の消費者の6%は悪いカスタマーサービスを受けたと回答している。そのうち3分の1以上(39%)のケースでブランドへの支出を停止、または削減したと回答している。
国内の消費者によれば、悪い体験が最も少ないのは、デパート、スーパーマーケット、ストリーミングサービス、電気・ガスなどの公益事業会社、配送業社。逆に悪いエクスペリエンスが最も多いのは、財物保険会社、インターネットサービスプロバイダー、病院・診療所、生命保険会社、航空会社、ホテルとなっている。
AIはより良いカスタマーエクスペリエンスへの道を拓くが、重要なのはセキュリティとサービスの品質
「XMI」調査によれば、日本の消費者の半数近く(46%)が、企業が提供するAIベースのサービスを使用することに抵抗がなく、36%の消費者が、AIが社会に良い影響を与えると期待している。
このようにAIへの良い反響や期待感はあるものの、企業がその価値を最大限に引き出すには、データセキュリティ、サービス品質、人とのつながりに関する消費者の不安を解消することが重要と言える。消費者がAIの使用に関して最も不安に感じているのは、個人データの悪用(57%)、サービス品質の低下(43%)、提供される情報の信憑性(32%)、人とのつながりの欠如(30%)。また大多数の消費者が、デジタル(43%)よりも人が対応するサービスチャネル(57%)を通じてブランドと関わりたいと考えている。
購入決定の決め手が商品やサービスの品質である一方で、現場の従業員は限界に達している
価格高騰やインフレしている環境下であっても、「Qualtrics XM Institute」の調査によれば価格が唯一の購入の決め手ではなかった。消費者の購入行動の決め手となるのは、おもに商品やサービスの質(61%)であり、顧客サービス(47%)、次に低価格(43%)が続く。
クアルトリクスによる別の調査によれば、カスタマーエクスペリエンスを向上させるには、店舗スタッフ、レストランのホールスタッフ、銀行の窓口担当者など現場で働く従業員の意欲低下を防ぐことが重要という結果が報告されている。この調査では、現場の従業員はそれ以外の従業員に比べ、給与や能力開発、業務サポートに対する満足度が低いことが示されている。
さらに企業は、顧客からのフィードバック行動の変化にも対応する必要がある。2023年にはポジティブまたはネガティブなカスタマーエクスペリエンスのフィードバックを提供する顧客の数が6%減少し、消費者のニーズを深く理解することが徐々に困難になっている。一方で、消費者はコールセンターでの会話、オンラインチャット、製品レビュー、ソーシャルメディアへの投稿など、より間接的な方法でフィードバックを提供するようになっている。
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ProductZine編集部(プロダクトジンヘンシュウブ)
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