生成AI領域に特化した事業会社Algomaticの創業に至るまで
──Algomatic創業以前の経歴について教えてください。
大野峻典氏(以下、大野):東京大学の機械学習系の研究室で、深層学習の研究に従事していました。当時は特に画像認識の精度が飛躍的に向上した時期で、今でいう言語生成や画像生成のようなブレークスルーがまさに起きていました。
学生時代は、土日も含めて1日10~15時間ほどソフトウェアエンジニアのインターンやソフトウェア開発に熱中していました。コンピューターサイエンスへの情熱があったので没頭できる時間がとても楽しかったですね。
卒業後も同研究室のリサーチエンジニアとして1年ほど在籍し、企業との共同研究開発や建設現場の重機自動運転のための画像認識など、機械学習のドメインに携わりました。
その後、Algoage(アルゴエイジ)という会社を2018年に立ち上げ、企業との共同研究や自社サービスの開発を通して新規事業の探索をしていました。技術力を生かした受託開発で利益を出しつつ、余剰資金を元手にいろいろな事業にチャレンジする日々でした。
2020年にDMMにM&Aで参画し、同社内でもまずは受託型の事業で収益化しながら自社サービスの模索を続けました。1年ほどたった頃にDMMチャットブーストCVというチャットボットを活用したマーケティング領域のプロダクトを開発し、それが大きな成長軌道に乗ることになります。そのサービス自体は今でも継続しています。
そして2023年、生成AI領域に特化した事業会社としてAlgomaticを創業しました。次の時代を代表する存在になることを目指し、日々開発に取り組んでいるところです。
事業に取り組むきっかけを振り返ると、単にエンジニアリングへの興味よりは、テクノロジーの力で面白いものを世の中に届けたい思いの方が大きかったです。
大学1年の頃にサンフランシスコを訪れた際、今でこそ有名なGitHubやTwitter、Pinterestなどを見学し、そこで働くエンジニアの方と話す機会がありました。彼らがテクノロジーで新しい価値を生み出していく姿にすごく憧れを抱いたのを覚えています。
最初は純粋にソフトウェアを作る側のエンジニアとして実力をつけることが、若い時に事業で勝負するための近道だと考えていました。技術トレンドの変化が大きい領域ほど若手にチャンスがあると思ったので、エンジニアリングに打ち込んでいった面はありますね。