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ProductZine Day 2024 Winter

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SaaSプロダクトの実例から学ぶプロダクトマネジメントの実践的な考え方

AIに代替されない技術:定性調査のコツ(前編)──調査の信頼性を高めるには?

SaaSプロダクトの実例から学ぶプロダクトマネジメントの実践的な考え方 第4回


 プロダクトマネージャーやディレクターが企画を立てるにあってプロダクトディスカバリーは重要ですが、そこには定量的・定性的の2つの側面があります。このうち、定量分析はAI技術の進展により効率化が進んでいますが、定性の部分は、まだまだAIに代替されにくい部分です。本稿では、アスエネのCPOである渡瀬丈弘さんが、実践的な定性調査のコツや観点を紐解きます。前後編の構成で、今回は「定性調査の信頼性を高めるには」がテーマです。(編集部)

はじめに

 多くの会社にとって新しい年度が始まり、プロダクトに関わるプロダクトマネージャーの方や、ディレクション・企画者の方は、新しい企画検討などが進む時期かと思います。プロダクトのミッションやKPIの達成のために、企画を仕立てる上で、プロダクトディスカバリーは非常に重要です。

 ユーザーの課題を深堀りし、解決すべき課題の特定と解決策の仮説を立てる際の手がかりには、データ分析の「量の視点」や、新しい切り口や課題設定のためのアプローチとして兆しをつかむような「定性的な視点」が必要です。昨今では、OpenAI社のChatGPTをはじめ、AI技術の進展によって多量データの分析は効率化していますが、今回はまだまだ「AIに代替できない」定性調査におけるコツを、基本的かつ実践的な知見としてお話しできればと思います。

 「AI eats software」の時代、アスエネとしても脱炭素・ESG経営にまつわる多くの「不」を解消すべくプロダクト推進を行う際、プロダクトマネージャーやディレクターの介在価値として、顧客ヒアリングに向き合っています。今回は企画や新機能を担う担当者が、定性調査を行う際のコツや観点を記載します。

定性調査と原則

 定性調査と言えばどのようなものでしょうか? 「定性調査」と一口に言ってもその種類や目的はさまざまです。種類では、サービスに寄せられる「コメント閲覧」や、一定ユーザーを集めた「グループインタビュー」、「電話インタビュー」や「ダイアリースタディ」といった記録ベースから、「デプスインタビュー」「行動観察」「エスノグラフィー」など、多くの手法があります。今記載した手法は、獲得情報量が少ないものから、多くなるものの順に記載していますが、必ずしも、それらをすべて行わなければならないというものではありません。

 「ユーザーの実態を明らかにしたい」「プロダクトに価値があるか確かめたい」「どちらのUIがいいか検証したい」など目的にあった調査手法が求められます。

 今回の記事では、定性調査を少し広い定義で捉えておきたいと思います。定性調査とは、「対象者から発せられる生の言葉や行動、あるいは観察者が見たままの状態や印象など、ことばや文章あるいは写真といった数値化できないデータの収集を目的とした調査」です(日本リサーチセンターより引用)。

 読者のみなさんは、普段の定性調査で何に気をつけていますか? 私は気をつけるべき原則として以下の4点を考えています。

信頼性を高める(守り)
  1. (どうやって?)バイアスをかけずに聞く
  2. (なにを?)意見ではなく、事実を聞く
有意性を高める(攻め)
  1. (どうやって?)言語化の方法を考える
  2. (なにを?)言葉以外にも注目する
定性調査の原則
定性調査の原則

 次の章から、その方法を説明します。

次のページ
信頼性を高める調査の必要性

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この記事の著者

渡瀬 丈弘(アスエネ株式会社)(ワタセ タケヒロ)

アスエネ株式会社 執行役員 CPO(Chief Product Officer)。2008年、ITコンサルタントとしてキャリアを開始し、社内初のSalesforce認定コンサルタント/認定ディベロッパーを取得。SaaS/クラウドの推進室立ち上げを行い、国家プロジェクトや国内大手企業のDXの推進。 2011年、リクルート入社。2013年に新規事業コンテストでグランプリを受賞し、受付管理SaaS Airウェイトを立ち上...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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