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ProductZine Day 2024 Summer

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順調なチームを緩やかに蝕むワナを避けるには?──探索により望ましい変化を意図的に作りだす「アジャイルなプロダクトづくり」


3つの視点によるむきなおり

 チームとして次に踏み出す一歩、さらにその先の二歩、三歩と方向性を見直すための機会のことを「むきなおり」と呼びます。過去の判断や行動を棚卸しして、改善していくことも大切ですが、それだけでは「昨日の強化」ループに陥る可能性があります。チームで意図していない展開を断つためには、別の視点での認識と判断が必要です。それは、「ユーザー」「チーム」「プロダクト」の3つからチームに起きていることを捉えることです。

変化を捉えるキャンバス
変化を捉えるキャンバス

 なぜ、「ユーザー」「チーム」「プロダクト」の3️つなのでしょうか。チームがプロダクトづくりを通じて実現したいこととは、ユーザーへの価値提供であり、その営みでチーム自身が甲斐を感じられることのはずです。収益が得られているかどうかは、当然見るべきところですが、そこだけを目標として強調した瞬間に「ユーザー」「チーム」「プロダクト」が置き去りになりやすくなります。「収益」と「ユーザー」「チーム」「プロダクト」の3つとの間でのバランスがいびつな(収益に偏りすぎている)ために、目の前の短期的な成果にフォーカスしてしまう。その結果として、意図しない停滞が展開されていくわけです。

 では、「ユーザー」「チーム」はよいとして、なぜ「プロダクト」まで含めるのでしょうか。正確に言うと、私たちはユーザーに対して直接的に価値を届けることはできません。届けられるのはあくまでプロダクトです。価値とはプロダクトの利用を通じて、ユーザー自身が得るもの、感じることです。私たちはユーザーが価値を得られるよう、持続的なプロダクト提供を担保する必要があります。ですからプロダクト自体の健全性を置き去りする(分かりやすくいうと技術的負債を後回しにし続ける)のは、ユーザーに対するコミットメントを果たしていないことになります。「プロダクト」も「ユーザー」「チーム」と並列で診る必要があるでしょう。

 チームでむきなおりする要点は、「変化を捉えるキャンバス」をもとにこれまであった変化を言語化した上で、ファイブフィンガー(FF)であらためて評価することです。チーム全員で、5点満点で変化に対するそれぞれの意見を出し合います。このときは最小のFF(変化が足りていないという意見)と最大のFF(十分変化しているという意見)を記録し、その差分について要因を探ります。多数決ではなく、異なる見方にフラットに向き合うことが大事です。

 こうしたむきなおりを少なくとも3か月に1回は行いましょう。たとえFFが高かったとしても、特段の変化なしが続いているようであれば、状況としては安定ではなく停滞ではないのか。さらなる問いかけを行っていきます。

 「変化が足りていない」と評価するならば、「ユーザー」「チーム」「プロダクト」それぞれについて知るための活動を始める必要があります。これが「プロダクト探索」です。

次のページ
変化を自分たちで作り出す(プロダクト探索)

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市谷 聡啓(イチタニ トシヒロ)

株式会社レッドジャーニー代表 サービスや事業についてのアイデア段階の構想からコンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイルについて経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクトマネジメント、大規模インターネットサービスのプロデューサー、アジャイル開発の実践を経て、自らの会社...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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