SansanにおけるMixpanelの活用法とは
次に、MixpanelのユーザーであるSansanの乙幡氏が登場し、ユースケースを紹介した。Sansanではプロダクト改善に、頻繁にデータを活用している。乙幡氏が紹介した2つの事例をそれぞれ見ていこう。
事例1:プロダクト改善箇所の分析と重要度の理解
Sansanのモバイルアプリでは、ニュース情報がプッシュ通知で配信される。その通知をタップするとSansanが立ち上がり、ニュースのフィード画面に遷移する仕様になっていた。しかし、ニュースの通知をタップしてSansanのフィード画面に遷移しても、該当のニュース記事が見つからない、というフィードバックが1件だけ届いていた。
フィードバックはわずか1件だったが、乙幡氏自身がこの事象に遭遇した経験を持っていたことから、改善したほうが良いのではないかと考えた。だが、それでもたった2件である。バイアスがかかっている可能性を懸念した乙幡氏は、ほんとうにそれがユーザーの課題になっているのかをMixpanelの「ファネル機能」を使って確認することにした。
結果、プッシュ通知をタップしたユーザーのうち過半数がニュース記事にたどり着けていないことが判明。課題の重要度を把握するとともに、改善策が必要であると確信した。他にも、機能リクエストがあった場合の影響度が低いケースを見極める、など優先順位決めにも活用している。
事例2:カスタマーリテンションのための、メール配信対象ユーザーの抽出
エンドユーザーの満足度やスティッキネスは重要なものの、B2Bのサービスでは本当のユーザーの声を聞く機会がB2Cよりも更に限られる。Sansanは営業DXサービスのため、主なユーザーは営業部門の人だ。しかしSansanを導入するのは人事部や総務部、情報システム部などのケースも多い。そうした場合には、Sansanのカスタマーサクセス部が、主なユーザーである営業部門の人と直接会話して、より有効な活用方法を提案できる機会は限られている。
そのためSansanのカスタマーサクセス部では、利活用の促進を目的として、既存顧客向けのセミナーを実施している。そのセミナーへ誘致するために、Mixpanelのイベントログ(直近1か月以内にログインしたユーザー、特定の機能を利用したユーザーなど)を活用したメール配信を行っている。
セミナーの中に、Mixpanelで抽出した営業部門や営業企画部門のマネージャーのような参加者がいた場合、Sansanのカスタマーサクセス部からアプローチをすることで、活用状況や困りごとのヒアリング、リテンションや貴重な提案機会の創出につなげているのだ。
上記2つの事例を受け、「プロダクトチームが他部署と協働する際に、データを活用することはあるか」と尋ねた松本氏。これに対し、乙幡氏は「私が所属する部署と他部署の間で意思決定をする際には、データをかなり活用している。根拠のない議論をしても最終的な着地に至らないので、定量情報は欠かせないものだ」と答えた。
最後に、「MixpanelはBtoB、BtoCを問わず、さまざまなお客様にご利用いただいている。プロダクト内におけるエンドユーザーの行動を分析するのは、全ユーザーにインタビューするのと同等かそれ以上の価値がある。顧客の感じているプロダクトの価値を『データから』理解して施策を打つことで、プロダクト開発の効率と勝率を高めていける」と松本氏は語り、講演を締めくくった。
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