LT3:Product Discovery × Product Ops ~開発と営業で組織横断的に、2回目のディスカバリーループを“やっと”回せるようになってきた話~
概要
- 登壇者:株式会社CastingONE 松丸海太氏
- 資料
Product DiscoveryとProduct Opsを組織横断的に連携させる取り組みについて、具体的な事例と学びが共有されました。特に、2回目のディスカバリーループを効果的に回すための方法論と、その過程で得られた知見に焦点が当てられました。
現状の課題
プロダクト開発と運用を行う中で、以下のような課題に直面していました。
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顧客の要望に過剰に反応
- 顧客の「欲しい」という声を聞きすぎることで、プロダクトの方向性がぶれてしまう傾向がありました。
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ロードマップへの固執
- 一度決定したロードマップに固執し、市場の変化や新たな洞察に柔軟に対応できていませんでした。
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一方通行のリリースプロセス
- 一度リリースした機能や改善に対して、フィードバックを収集し反映するサイクルが確立されていませんでした。
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フィードバックの活用不足
- 顧客からのフィードバックを十分に収集できていない、あるいは収集したフィードバックを効果的に活用できていないという課題がありました。
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部門間の連携不足
- 開発チームと営業チーム間のコミュニケーションが不十分で、顧客の声や市場の動向が製品開発に適切に反映されていませんでした。
これらの課題に対処するため、以下のようなプロセスとアクションの可視化に取り組みました。
課題解決に向けた3つのポイント
松丸氏は、上記の課題を解決し、効果的なプロダクトディスカバリーを実現するための3つの重要なポイントを提示しました。
- プロダクトマネジメントプロセスとアクションを可視化
- 集めたいVoCをフォーカスする
- すべての行動に感謝と承認と肯定。そして音速の即レス、即展開
これらのポイントに基づいた具体的な取り組みを見ていきましょう。
1.プロダクトマネジメントプロセスとアクションを可視化
この取り組みでは、既存のプロセスや活動を効果的に連携させることに焦点を当てました。
具体的な取り組み内容
- 各部門(開発、営業など)で行われている活動を洗い出し、全体の流れを図式化
- プロダクトマネジメントの各フェーズ(構想、計画、開発、運用)を明確に定義
- 各フェーズで必要なアクションを特定し、その関連性や依存関係を可視化
これにより、部門間の連携ポイントや情報の流れが明確になり、組織全体でプロダクトマネジメントのプロセスを共有できるようになりました。まずはPMチームが強度高く、このプロセスの理解と実行ができるよう努めています。
2.集めたいVoCをフォーカスする
この取り組みでは、効果的なディスカバリーループを回すために、収集すべきVoC(Voice of Customer)を明確にフォーカスしました。
具体的な実践内容
- 重要顧客セグメントの特定
- 検証すべき具体的な仮説の設定
- VoC収集方法の最適化:どの情報をいつ、誰に、どのように伝えるべきかを明確化
例として、リリース勉強会(営業への説明会)の実施が挙げられました。新機能のリリース時に、その機能で検証したい点を営業チームと共有することで、効果的なフィードバック収集につなげています。
3.すべての行動に感謝と承認と肯定。そして音速の即レス、即展開
この取り組みでは、組織全体でのフィードバックループを加速させることに重点を置きました。
具体的な実践内容
- チームメンバーの貢献に対して、その場で具体的な感謝の言葉を伝える
- 顧客インタビューや分析から得られた洞察を、迅速にチーム全体に共有
- 得られた洞察に基づき、具体的なアクションプランを迅速に提案・実行
この「即レス、即展開」の文化により、学習サイクルが加速し、プロダクトの改善スピードが向上しました。
総括
組織横断的なプロダクトディスカバリーと製品運用の連携は、継続的な製品改善とイノベーションの鍵となります。プロセスの可視化、VoCのフォーカス、即時フィードバック文化の醸成といった取り組みは、ディスカバリーループの効率を大幅に向上させます。この事例は、プロダクトマネジメントを単なる役割ではなく、組織全体で取り組むべき文化として捉えることの重要性を示唆しています。