プロダクトマネージャーの役割:事業部門を支援する戦略的リーダー
「プロダクトマネージャー」は、事業部門がビジョンに基づいた事業を効果的に進められるよう、プロダクトの方向性を定め、戦略的なサポートを提供します。プロダクトマネージャーは市場調査やユーザーリサーチを通じて、ビジョンに沿ったプロダクトの方向性を策定し、事業部門と連携して具体的な製品やサービスを形にします。
プロダクトマネージャーは、ビジョンを実現するためのロードマップを作成し、事業部門が必要とするリソースの調整やステークホルダーとの連携を行います。
また、顧客の期待を理解し、製品の価値を最大化するためのフィードバックループを構築します。こうして、プロダクトマネージャーは事業部門がビジョンに基づいて競争力のある製品を提供できるようリーダーシップを発揮します。
日本の大企業では、この役割を担う人材、ポジションとしてのプロダクトマネージャーがないことが多い傾向にあります。明らかに違うビジネスモデルのビジネスを立ち上げた経験者が必要です。
IT部門の役割:事業とプロダクトを支える技術基盤とリソース調達
IT部門は、事業戦略部門のビジョンと事業部門のニーズに応える形で、DXを支える技術基盤を提供します。IT部門はシステムの設計・導入・運用、データ管理、セキュリティ対策を担当し、事業部門がスムーズに事業を立ち上げ、運営できるように技術的な支援を行います。
また、IT部門はプロジェクトの進行に応じて、プロダクトの開発や運用に必要なリソースを適切に調達します。例えば、事業部門やプロダクトマネージャーから要望があれば、デジタルプロダクトのユーザー体験(UX)を高めるためのUXデザイナーや、専門的な開発を行うプログラマーなどの専門家を確保することも重要な役割です。
必要に応じて社内外のリソースを柔軟に調整し、スキルや専門性の補完を図ることで、プロダクトの品質と完成度を確保します。
第2回でも述べたように、IT部門には、DXを推進できる技術や経験をもった人材が明らかに不足しています。
さらに、IT部門は事業部門やプロダクトマネージャーと協力し、プロダクトの導入や運用における障害を未然に防ぎ、迅速に解決する体制を整えます。IT部門の支援により、事業部門はデジタルツールやシステムを効果的に活用し、業務効率化やデータに基づく意思決定を行えるようになります。
IT部門でここまでの支援ができていれば安心と言っても良いです。
DXの成功には、まず事業戦略部門が明確なビジョンを策定し、それを基に事業部門が事業を立ち上げ、プロダクトマネージャーとIT部門がその運営を支援する協力体制が重要です。ビジョンに基づいた一貫性のある取り組みを通じ、企業全体で持続可能な成長を目指すことが求められます。IT部門は技術基盤の提供だけでなく、UXデザイナーやプログラマーなどの不足リソースを柔軟に調達することで、デジタル時代における競争力を高める体制を整えることが鍵となります。
本稿までの4回で、どんな役割の人材が何をすべきかが分かってきましたが、同時にプロダクトマネージャーや、UXデザイナー、プログラマーなどの人材がいないことも分かってきました。
最終回の次回は、いざ施策を実行しようとする段階で実行する人がいないという事態に直面した場合、短期的・中期的に、プロダクトマネージャーを含めた人材の育成や採用、また段階的な内製化をどのように進めていくかについて解説したいと思います。