プロジェクト管理ツールによる小さな成功体験を積み重ねていく
では、プロジェクト管理ツールによる成功体験をどのように積み重ねていけばいいのだろうか。小林氏は、メリットを感じてもらう・情報一元化を意識してもらう・運用を継続的に改善するという3つのステップが重要になると説いた。

まずツールを使うメリットを感じてもらうには、チケットに書いていてよかったと思える状況をプロジェクトマネージャーがツールを介してお膳立てするのが効果的だという。例えば、なにかまずい状況があった時に、それに対してプロジェクトマネージャーがパッとフィードバックして誰かが必ず助ける流れを作る。急病で休んでも、それまでの作業内容を残しておいてもらえば他の人に引き継ぎやすくなるといった具合だ。また、失敗やトラブルの経緯を正しく記録しておけば、再発防止も可能になる。事実を正確に記録しておくことで後から責任を問われずに済むというメリットもある。
また、情報の一元化を意識してもらうには、さまざまな情報をチケットに残していく働きかけが重要になる。たとえば、チケットを作成してから業務を進めるといった具合だ。そのために、テンプレートを用意しておいたり、プロジェクトマネージャーやリーダーが率先してチケットを作成していったりすることが効果を発揮する。さらに、こうした運用の継続的な改善により心理的に負担を減らして、入力しやすくできる。

運用の継続的な改善で担当者の困りごとに向き合うと、実はたいしたことではないことも多いと小林氏は主張する。ちょっとしたヒントや代替策で解決できることも少なくないのだ。
「なにかツールに反発している人がいたら、その原因をよく聞いてみてください。それがすごくヒントになることもありますし、あえて言いますが、そういう人を仲間にすると非常に心強いです」
こうした活動を進めることで、プロジェクトマネージャーと現場の齟齬などが解消されるだろうと小林氏は述べた。

「プロジェクトの運営はさまざまな障壁が絡んで一筋縄では行かないと思います。チームについつい厳しい状況を伝えてしまい、チームのメンバーもぐったりしてしまうことも多いと思いますが、うまくいく未来を想像しながらラクして楽しくみんなで障壁を乗り越えていきましょう」と小林氏は語り、セッションを締めくくった。