アクションとの連動で、KPIは「生きた指標」になる
KPI管理の効果を最大化するためには、徹底した現状の可視化とプロセスの型化が不可欠です。KPIは細分化すれば、いくつでも限りなく設定できてしまうので、真に必要なものを一目で確認できる状態にまとめることが重要です。主要なKPIは、ダッシュボードのワンスクリーンで把握できるボリュームになるよう整理するのが理想です。
KPIダッシュボードに表示すべき指標の選定には、主に2つの観点があります。1つは売上などの最終目標へのインパクトが大きいものです。もう一つは自社でコントロールが可能な変数です。例えば市場成長率などの外部要因はコントロールできませんが、訪問件数などの活動指標は自社の努力で変動させることができます。
設計から実行へ──KPIを動かすアクション管理
KPIの進捗を確認するミーティングについては、最終的なアウトプットが、「どこにどの程度注力するか」というリソース配分の決定と、「具体的に実行するアクション」の合意であることだという共通認識を持つことが大切です。このアクションへの落とし込みが極めて重要であり、イタンジでは年間計画の策定時にKPI目標を数値化すると同時に、「10 Key Actions」と呼ぶ10の重点施策を設定しています。
これは例えばセールス活動で3つ、カスタマーサクセス活動で2つ、プロダクト施策で3つ、開発タスクで2つというように、KPI向上のために最も注力すべきアクションを事業本部ごとに明確化するものです。月次ミーティングではKPI数値の確認とアクションの進捗確認を並行して行います。
このKPI運用の型を継続的に実践することは、メンバーの市場価値向上にもつながります。メンバーは、会議体の運営を任され、自走力を鍛えることで、KPI運用という事業経営の基礎を身につけることができます。これにより社内でより大きな責任を担えるようになり、より複雑な事業を運営できるスキルを獲得していくことが可能です。

例えばマネージャーが自部門のKPIと「10 Key Actions」を基に運営スキルを高めることで、担当できる事業規模が拡大していきます。事業本部レベル、さらには会社全体へと活動範囲が広がり、キャリアアップへとつながります。つまり、会社経営と同じ思考プロセスをチームレベルから実践し、ステップアップさせることで、組織内での成長を促進しているのです。