デジタルアナリティクスにおけるAI活用のトレンド
──2月にリリースされた、Amplitudeの最新機能「Guides and Surveys(ガイドアンドサーベイ)」について教えてください。
「Guides and Surveys」も、アナリティクスの力と他のサービスとを組み合わせるよい事例の一つだと思っています。Amplitudeでユーザーの行動を詳細に把握ができているからこそ、ガイドを正しく・賢いやり方で提供ができるからです。
説明のためのポップアップが常時表示されると煩わしいですよね。Amplitudeでは、個々のユーザーの挙動を見ながら適切な形でガイドを出し分けられるので、非常に強力な機能だと思っています。

例えば、アナリティクスの情報を見て、最初のオンボーディングのプロセスでうまくいっていなさそうなことが分かったとします。個々のセッションをリプレイをすれば、どこでユーザーがつまずいているかも詳細に把握できます。そこで「ここで何か苦しんでいらっしゃるようですね。お助けしましょうか」とガイドを出すことで、非常に的を絞った形でユーザーへ関与できます。フィードバックを取得し、ユーザーと双方向のコミュニケーションを行うことも可能です。
また、ユーザーをセグメント化して分類し、それぞれのグループに対して、オンボーディングやコミュニケーションのやり方を変えることもできます。
例えば、マーケティングチームがプロダクト内で情報を提供したい際に、特定のユーザーやグループを対象にするだけでなく、「それがお客さまの行動にどのようなインパクトを与えたのか」「成果を獲得できたのか」「定着に影響を与えたのか」なども確認することができます。定量的な情報と定性的な情報を組み合わせるのは一般的に難しいのですが、それをうまく実現できていると思います。
特に、それらを1つの共通プラットフォームで提供することで、プロダクトチームがセルフサービスで施策を試行でき、かつそこからインサイトが得られる点が極めて重要だと考えています。
──昨年11月に発表された、CommandAIの買収についてもお話しいただけますか?
先ほどの「Guides and Surveys」ですが、これは「CommandAI」を買収したことによってプロダクトとしてリリースすることができました。買収から4か月足らずでネイティブに連携できた形です。
デジタルアナリティクスは、これからも時間の経過とともにAIによって強化されると考えています。CommandAIの買収は、Amplitudeにとって大きなインパクトを与える出来事で、この1年~1年半は、特にAIに関してのロードマップを実行していく予定です
──最近の生成AIのトレンドにおいて、デジタルアナリティクスはどのように変わってきているのでしょうか。
デジタルアナリティクスの今後を考えるうえで、一般的に2つの視点があると思っています。1つはAIを使ってインサイトを得ること。もう一つは、AIアシスタント機能を使ってユーザー体験を改善していくことです。
前者については、対話型インターフェースの要件がこれからも出てくると思います。われわれは「Ask Amplitude」という機能で対応しています。
例えば、「(利用率が)トップ10のユーザーが含まれるグラフを表示して」という風に、話しかけるように使うことができるものです。特に、特定のユーザーデータと組み合わせることで、ユーザー目線でのよりよい気づきが得られると思います。
将来的に、デジタルアナリティクスは自動運転車のようになっていくのではないでしょうか。そのため、引き続きAIエージェントベースのアプローチを継続的に行っていきます。
AIの活用については、データの民主化の一環として、お客さまがなるべくデータにアクセスしやすくするという考えのもと、実現しています。
数多くの企業、特に日本では、専任のデータサイエンティストの方を介して情報のやり取りをしていることが少なくないかと思いますが、それらをマーケティングチームやプロジェクトチームが直接実行ができるようになれば、これらのチームがあげる成果も大きくなると思います。
例えば、インドネシアの大手旅行代理店トラベロカ(Traveloka)では、データアナリスト以外の社員が自分たちでデータを扱い理解できるように推進したことで、従来データアナリストが使ってした時間の40%を節約し、他にタスクに集中できるようになりました。
日本でも最近ですが、ココナラさまにおけるAmplitudeの導入事例を発表させていただきました。他にも日本の最大の事例としては、NTTドコモさまがあります。