グローバル視点で見る日本市場の可能性とPendoの貢献
──日本市場のデジタルプロダクトについて、どのような印象をお持ちですか?
ヤング:日本市場のデジタルプロダクトは、米国や欧州のレベルと比較しても全く遜色がないと感じています。日本のお客さまとお話ししていても、抱えていらっしゃる課題は世界共通です。例えば、「ユーザーの定着率をどう上げるか」「顧客の離反をいかに防ぐか」「全体的な満足度をどう向上させるか」といったテーマは、どの国でも議論されています。
──日本市場が持つ特有の課題と、その可能性をどう見ていますか?
ヤング:課題の一つは「言語」でしょう。例えば、日本語で開発された素晴らしいプロダクトを米国市場に展開する場合、単に言葉を翻訳するだけでは不十分です。技術的な側面も含めたローカライズが必要となり、これは決して簡単なことではありません。AI技術によって多言語翻訳の質は向上していますが、アプリ自体にその機能が組み込まれていることが前提となります。
一方で、日本が世界をリードしている側面もあります。今回来日して感心したのは、多くのレストランでメニューがデジタル化され、多言語翻訳機能が標準で備わっていたことです。こうした点は、米国や英国ではまだ一般的ではなく、日本の先進性を感じました。
──日本の状況に対し、Pendoとしてどのように貢献していきたいですか?
ヤング:私たちは日本市場により良く貢献できるよう、具体的な取り組みを進めています。一つは、PendoプラットフォームのUI(ユーザーインターフェース)を完全に日本語化することです(※2025年7月に実装)。これにより、日本のお客さまがより直感的にプラットフォームを使いこなし、ご自身のソリューションを構築しやすくなります。
もう一つは、日本のお客さまのサクセスストーリーを積極的に共有していくことです。Pendoを活用して実際にどのような成果が生まれたのかを共有し、他のお客さまにも学びの機会を提供したいと考えています。その一環として、7月2日に東京で大規模なユーザーカンファレンスを開催しました。
「常に1%でも改善を」──ボストンマラソン完走に学ぶ、成果を出すための哲学
──組織を率いるリーダーとして、成果を出すために大切にしている考え方や哲学はありますか?
ヤング:私が日々実践していることに、「Hone your craft(自分の腕を磨く)」という考え方があります。これはPendoが掲げる4つのカルチャー・バリューの一つでもあります。少し哲学的な話になりますが、私は人生やビジネスにおいて、常に改善を求め続けることを信条としています。
「自分のチームのために、仕事のために、そして人生のために、自分に何ができるか」を常に自問自答し、たとえ1%の、そのまた1%でもよいので改善しようと努める。この姿勢が大切です。
個人的な例ですが、私は3、4年前にランニングを始め、「ボストンマラソンに出場する」という目標を立てました。そして今年の4月、目標だったボストンマラソンを3時間9分で完走することができました。最初の挑戦では4時間半かかりましたが、常に改善を続けた結果です。
──その「改善を続ける」という哲学は、チームマネジメントにどのように活かされているのでしょうか?
ヤング:この「常に改善の余地はないか」というマインドセットを、チームメンバーにも浸透させるよう努めています。その一環として、たとえ小さなことでもリスクを取って行動することを奨励しています。リスクを取れば、必ずしもうまくいくとは限りません。しかし、「失敗しても大丈夫だ」という経験を積んでほしいのです。
このメンタリティは、先ほどお話ししたSXMのコンセプトと非常に親和性が高いと考えています。常に改善の可能性を探るアプローチこそが、プロダクトマネージャーや、その先のユーザーにとって最高の体験を提供することにつながるのです。
──最後に、日本のプロダクトマネージャーや読者の皆様へメッセージをお願いします。
ヤング:皆さまへのメッセージとして伝えたいのは、「ユーザーを心から満足させる素晴らしい製品を作ることは、決して容易ではないが、正しいアプローチを取れば必ず実現可能だ」ということです。
今日では、金融、製造、保険、小売など、あらゆる企業がある意味でソフトウェア会社です。その中で最終的に勝ち残っていくのは、間違いなく「ユーザーに愛されるソフトウェアソリューションを構築した会社」です。信頼され、愛される製品だからこそ、ユーザーは繰り返し使い、友人や同僚にも自然と広めてくれるのです。Pendoは、そのための強力なパートナーになれると信じています。
