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ProductZine Day&オンラインセミナーは、プロダクト開発にフォーカスし、最新情報をお届けしているWebメディア「ProductZine(プロダクトジン)」が主催する読者向けイベントです。現場の最前線で活躍されているゲストの方をお招きし、日々のプロダクト開発のヒントとなるような内容を、講演とディスカッションを通してお伝えしていきます。

デブサミ2026の初日をProductZineとコラボで開催。

Developers Summit 2026 「Dev x PM Day」

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「プロダクトマネージャーカンファレンス 2025」レポート

「pmconf 2025」東京開催レポート! AI実装、組織の壁、そして個人の覚悟──多くのPMが熱狂した「未来への挑戦」の記録

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【対話】予定調和を破壊する「PMフィッシュボウル」の熱気

 イベントの終盤を飾ったのは、pmconfとして今回初となる試み「PMフィッシュボウル」だ。

 これは、中央に置かれた数席(フィッシュボウル/金魚鉢)で議論を行い、その席の少なくとも一つを常に「空席(ホットシート)」にしておくことで、聴衆である参加者がいつでも自由に議論に飛び入りできるというスタイルだ。

 モデレーターを務めたProduct People株式会社 提携プロダクトコーチの広瀬丈氏から「予定調和なパネルディスカッションはもう飽きた。会場にいる全員が当事者であり、誰がどんな知見を持っているか分からないからこそ、この形式を選んだ」という趣旨が説明されると、会場の空気は一変した。

モデレーターを務めた広瀬丈氏
モデレーターを務めた広瀬丈氏
前半:対話イベントの価値とは

 パネラーとして飯沼亜紀氏(PM Jam)、柳川慶太氏(BASE)、松岡綾乃氏(TVer)らが登壇。「登壇者が一方的に話すのではなく、フロアの熱量で議論が変わるライブ感」「『正解』ではなく『問い』を持ち帰る場」といった、大規模対話イベントならではの価値が語られた。広瀬氏はこれを「耳学問(みみがくもん)の復権」と表現し、偶発的な学びの重要性を強調した。

左から、飯沼亜紀氏(PM Jam)、柳川慶太氏(BASE)、松岡綾乃氏(TVer)
左から、飯沼亜紀氏(PM Jam)、柳川慶太氏(BASE)、松岡綾乃氏(TVer)
後半:PMフィッシュボウル本編

 後半の実践編では、いよいよホットシートが解放され、議論の口火が切られた。

 最初のテーマとして投下されたのは、飯沼氏による「AI時代、もはやプロダクトマネージャーは不要になるのではないか?」という挑発的な問いだ。これを皮切りに、会場のボルテージは一気に最高潮へ達した。

  • 「責任」の所在

    AIは何でも作れるが、「責任」は取れない。最後に腹を括って決断し、結果に責任を持つのが人間(プロダクトマネージャー)の役割ではないか。

  • 職種の境界を超えて

    「プロダクトマネージャー」という職種名に固執する必要はない。エンジニアもデザイナーもビジネス職も、プロダクトの成功に向き合う全員が当事者であるべきだ。

  • 経営と現場の接続

    視座を高く持つことは重要だが、現場のリアリティも無視できない。経営層の「言語」と現場の「言語」をどう翻訳し、接続するかという悩みと工夫。

  • 孤独と弱さ

    意思決定者ゆえの「孤独」に対し、「弱みを見せられる場所が必要だ」「コミュニティがその受け皿になる」という共感の声。

  • 覚悟の定義

    「覚悟とは、何かを捨てることだ」。リソースも時間も有限な中で、やらないことを決める勇気がプロダクトマネージャーには問われている。

 これらの問いに対し、株式会社タイミーの大歳華王志氏や株式会社SmartHRの松栄友希氏、株式会社UPSIDERの森大祐氏、株式会社ZOZOの福岡明彦氏、テックタッチ株式会社の中出昌哉氏、エムスリー株式会社の山崎聡氏など、各社のプロダクトリーダーたちが次々とホットシートに飛び込み、マイクを奪い合うように熱弁を振るった。

 壇上の登壇者とフロアの参加者の境界線が溶け、文字通り会場全体が巨大な「対話の場」と化した3時間。この白熱した議論の全貌や、そこで得られた集合知については、後日、詳細レポートとして改めてお届けする予定だ。

PMフィッシュボウルで議論する参加者たち
PMフィッシュボウルで議論する参加者たち

「OST」「Discuss with the Speaker」──至る所で生まれる対話

 セッション以外の場でも、東京開催ならではの「対話」の仕掛けが随所に見られた。

 夕方に行われた「OST(オープンスペーステクノロジー)」では、参加者自身が議題を出し合い、興味のあるテーマごとに車座になって議論が行われた。参加者自身が議題を出し合い、現場のリアルな悩みや、ここだけのオフレコトークに花が咲いた。

 また、「LT(ライトニングトーク)」も実施され、自身の知見を熱く語るプロダクトマネージャーたちの姿が印象的だった。

賑わうスポンサーブースの様子
賑わうスポンサーブースの様子

 さらに、各セッション終了後には「Discuss with the Speaker」エリアが設けられ、登壇者を囲んで質問や議論をする輪が絶えなかった。一方的なインプットだけでなく、その場で疑問を解消し、知見を深めることができるのも、完全オフライン開催の醍醐味だろう。

 SNS上でも、ハッシュタグ「#pmconf2025」には多くの感想に加え、印象的なスライドの写真と共に学びをシェアする投稿が相次いだ。また、フィッシュボウルで展開された「覚悟」や「責任」を巡る議論の様子もハッシュタグを通じてリアルタイムに共有され、会場の熱気がオンライン上にも伝播している様子がうかがえた。

2025年、プロダクトマネージャーコミュニティは「未来」へ動き出した

 こうして「pmconf 2025」は、夜に行われた懇親会をもって大盛況のうちに閉幕した。

 大阪で点火され、東京で大きなうねりとなったプロダクトマネージャーたちの熱量。「未来に挑め」というテーマの下、AIという新たな武器を手に、日本のプロダクトマネジメントは新たなフェーズへと確実に歩みを進めている。

 なお、当日のセッションの一部は後日公式YouTubeチャンネルでアーカイブ公開される予定だ。今回参加できなかった方は、ぜひチャンネル登録をして続報を待ってほしい。

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https://productzine.jp/article/detail/3935 2025/12/05 20:15

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