4.想像力を広げるためにテックタッチで実践していること
4-1:毎週最新のAIニュースや論文を追いかける
テックタッチでは、週に1回「輪読会」を開催し、その週に発表された重要な論文やAI関連のニュースを全員で読み、議論します。狙いは、「何が技術的に可能になったのか」をリアルタイムで把握することです。
最新モデルを実際に触りながら議論したり、学術論文を読んだりして、今後6か月〜1年先に実用化される可能性のある技術をキャッチアップしています。重要なのは、「情報を集めること」ではなく、「集めた情報を咀嚼し、自社のプロダクトに適用できるかを考える習慣」です。週次でこの時間を設けることで、技術動向に対するアンテナの感度が継続的に向上します。
4-2:世の中のAIプロダクトを実際に触る
Product Huntのウィークリートップ5や、OpenAI、Google、Anthropicなどが発表した新しいプロダクトや機能を、週に1回必ず検証するようにしています。
重要なのは、「記事を読むだけではなく、実際に手を動かして触る」ことです 。オンボーディングフロー、複雑な機能をシンプルに見せるUI、料金体系などを分解しながら体験します。これにより、「こんなUXがあるのか」「この見せ方は自社でも使えそう」といった具体的な気づきが得られます。プロダクトマネージャーに限らず、全社的に「見る習慣、使う習慣」を作ることが重要です。実際に触ることで、抽象的な「AIの可能性」が具体的な設計知に変わります。
4-3:R&D専門組織「DAP Lab」で可能性を検証する
テックタッチでは、「DAP Lab (Digital Adoption Platform Lab)」 というR&D専門の組織を設置しています 。DAP Labのミッションは、生成AIを中心とした研究開発と先行的な機能開発です。具体的には以下のような取り組みを進めています。
- 最新論文の技術調査とプロトタイプ作成
- 新しいAI技術の自社プロダクトへの適用可能性検証
- 技術的な「できる/できない」の境界線の見極め
ここでは、ROIや事業貢献を意識しすぎず、技術ドリブンで探索を行うことを重視しています。新しい技術の可能性を探索する際には「これは本当に使えるのか?」を、一定程度自由に試せる場所が必要だからです。
事業部側のプロダクトマネージャーもDAP Labのメンバーを兼任する体制を取り、アイデアやイシューをDAP Labに共有し、技術調査とプロトタイピングを行うサイクルを回しています。
例えば、問い合わせデータからの課題特定や、操作ガイドの自動生成といった、再設計の核となる部分の技術検証を事前に行いました。
このプロセスの最大の効果は、プロダクトマネージャーの「思考の制約」を取り払うことです。推測ではなく実証に基づいて判断できるようになり、本格的な開発に入る前に技術的な実現可能性を明らかにしておくことで、より大胆な企画にチャレンジできます。
これら3つの取り組みに共通するのは、「継続性」と「実践」です。習慣として組み込むこと、そして情報を得るだけでなく実際に手を動かすことを徹底することで、プロダクトマネージャーの想像力の射程は着実に広がっていきます。
おわりに
本記事では、「AIを足す」ではなく「AIで再設計する」というテーマのもと、テックタッチでの実践を通じて学んだプロダクトマネジメントの知見を紹介してきました。
AIエージェント時代のプロダクトマネジメントは、まだ誰もが手探りの領域ですが、だからこそ面白い。従来の常識にとらわれず、ユーザーが諦めていた体験や想像すらしていなかった価値を提供できる可能性が目の前に広がっているとも言えます。
この記事が、AIエージェント開発に挑戦するプロダクトマネージャーの一助となれば幸いです。
