データの数字を追うだけでなく、実際にそのデータを使ってビジネスを成長させたいと皆考えています。そのためにはデータを報告して終わりではなく、KPIの担当者がデータを施策につなげていく必要があります。過去の2回の連載で、プロダクトアナリティクスというデータ分析手法と、ビジネス成長のためのKPIを導き出すプロダクト指標を解説してきました。端的に説明すると、まずはKPI全体の軸となるフォーカス指標を設定します。次に、その下に配置する5つのレベル1指標を定義します。「リーチ」「アクティベーション」「エンゲージメント」「リテンション」「ビジネス固有」の5つです。さらにその下には、より詳細なKPIを設定するためのレベル2指標を設定します(詳しい説明は前回記事を参照)。今回は、実践編として「EC」と「金融サービス」でどのようなKPIを測定し、ビジネスを成長させるかを詳しく解説します。
ECにおけるフォーカス指標の決定
1つ目は、架空のサービスである「ECストアA」を軸に説明していきます。まずは図をご覧ください。フォーカス指標は、KPIの羅針盤のようなもので、チーム全体が目指しているゴールです。そのゴールはお客さまが満足し、ビジネスが成立している状況です。ある意味、当たり前のことかもしれませんが、この点を理解することから始めます。
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顧客が満足する時(モーメント)は何なのか
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どの頻度で起きることが理想なのか
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ビジネス運営側も納得できる組み合わせであること
フォーカス指標は、3つの要素で構成されています。どれくらいの頻度で販売することが理想でしょうか? ECサービスごとに頻度はさまざまだと思いますが、ここでは月に1回は購入することを選び進めていきます。「月の購入者数」をフォーカス指標に設定することにします。